髪色が鮮やかなのは、なぁぜ? なぁぜ?
一話千字~二千字程度のエッセイの閲覧数が、一話八千字前後の長編小説より反応がいいです……。
ヒロインの髪が色鮮やかな理由。
読み専時代は、へんてこりんな髪色が出てくるのが少し苦手でした。
でも、書き手になった今はその理由がわかります。
ではなぜか? それは登場人物の差別化です。
実際にピンク色や、緑色の髪色を見たら目を引くと思います。
染髪は一種の自己表現です。物語では自己表現という名の作者表現です。
ただし、実際に染めているわけではありません。表現技法としてその色を与えています。
書き手が登場人物の髪色があくまで表現手法であると言うのなら、登場人物がその髪色に言及するときに、表現手法として用いている色に言及するのは不自然、という人もいるかもしれません。
おっしゃることはわかります。
たしかに表現技法で差別化を図っているのであれば、元の髪色以外の色を言及するのは不自然かもしれません。
じゃあなぜ言及するのか?
それは、技法による不自然さよりも、読み手のわかりやすさを選択したからです。
例えば、ゆるふわヒロインにピンク色の髪という髪色を与えたとします。
――さて、今日は何を飲もうか。
自動販売機お金を入れたものの、俺はボタンを押しあぐねる。
そこへ後ろから友人から声がかかる。
「うっす。この前に話してた子だけどさ。駅前で見たよ」
肩に手を回す友人を若干鬱陶しく思いながら、
「友達? 誰だよ?」
緑に光るボタンを指で押し込む。
「ほら、あれだよ。ちょっとゆるふわな感じでピンク色の」
――あぁ、彼女か。
鈍い音と共にイチゴオーレが落ちてきた。
――さて、今日は何を飲もうか。
自動販売機お金を入れたものの、俺はボタンを押しあぐねる。
そこへ後ろから友人から声がかかる。
「うっす。この前に話してた子だけどさ。駅前で見たよ」
肩に手を回す友人を若干鬱陶しく思いながら、
「友達? 誰だよ?」
緑に光るボタンを指で押し込む。
「ほら、あれだよ。ちょっとゆるふわな感じで黒髪の」
――あぁ、彼女か。
鈍い音と共にイチゴオーレが落ちてきた。
後者は主人公が言及している人が、誰? となりませんか。
言及しないように物語を練るのが理想。
もしく言及されても問題がない設定を練るのが理想ですが、物語には書き手にとっても想定外はつきものです。ネタなんて唐突に振ってくるものですから。
書き手次第では言及をせざるを得ない状況が起こり得るかもしれません。
ここで言いたいのは、髪色は書き手が登場人物に与えた属性の一つでしかない。
それ以上でも以下でもないということです。
一時期は、赤色は活発、青色は冷静というように、元の色のイメージに合わせた髪色を登場人物に与えていたそうですが、今はそうでもないようです。
書き手から登場人物へ、物語への門出を祝うプレゼントみたいなものです。
読み手は、赤髪=ヒロイン①、青髪=ヒロイン②。
それぐらいの認識で留めて、物語を楽しんでいただけたら書き手は嬉しく思います。
◆ ◇ ◆ ◇
ところで、『dアニメストア』では「主人公・ヒロインの髪が〇色のアニメ特集」を掲載しているようです。
これは果たして誰得なんでしょうか。よく企画が通りましたね。
「赤髪ヒロインうおおおお……!」
そうはならんでしょう。
コメディか、やっぱりコメディが足りないのか……!




