人称代名詞と語尾の可能性は無限大!
息抜きエッセイが、気合入れたファンタジーより評価が高くて複雑に嬉しい……。
ありがとうございます……。
こんなに人称代名詞いる?
日本語について私はそう思うときがあります。
かしこまった場では「私」「私」が一般的です。
職業関連ではでは「当方」「下名」「本官」「本職」「当職」「拙僧」「こちら」
しかし、日常生活において、男性であれば「俺」「僕」「儂」「自分」、
女性であれば「わたし」「あたし」「うち」を使うこと一般的ではないでしょうか。
英語では主語であれば「I」一択です。
二人称も同様です。
かしこまった場では「あなた」「貴方様」。
日常生活であれば「お前」「そちら」「お宅」「君」「あんた」「お前さん」「じぶん」「あんさん」。現代日本ではあまり使う人はいらっしゃらないでしょうが「貴様」もあります。
英語は「You」というこちらも一語で全て完結します。
三人称は、公では「彼」「彼女」
日常生活では「これ」「それ」「こいつ」「そいつ」「あいつ」といったところでしょうか。
英語は「he」「she」「this」「it」「that」でしょうか。
ここまでが表の世界です。
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ここからが裏の世界です。
裏の世界というのは、隠語という意味ではありません。
過去に人称代名詞として使われたことはあるが、今ではほとんど使われることがないものたちです。
それらの多くが物語ではいまだに使われています。
一人称:あたい、あーし、あちき、わい、わて、おら、おいら、おいどん、わっち、妾、余、朕、我、麻呂、吾輩、俺様、某、己、小生、拙者、身共、手前、此方。
私が見聞きしたことがあるものでも上記があり、他にもWikipediaなどインターネット上には聞き覚えのない一人称がゴロゴロしています。
二人称:あんさん、うぬ、おどれ、おまはん、きさん、てめぇ、われ、汝、其方、その方、貴君、貴殿、貴公、お主、主様などなど。
三人称はそうトリッキーな人称代名詞がないのが救いです。
――なんでそんな奇天烈な人称代名詞を物語で使うの! 現実ではありえないでしょう!
そう言う声もあると思います。その通りです。
ただこれには理由があります。
小説は文字の世界です。文字だけが書き手に許された唯一の表現です。
文字の世界で登場人物を識別してもらうために、人称代名詞に属性を盛り込むことが効率的なのです。
ブレイク・スナイダーという脚本家の『SAVE THE CATの法則』では、これに「松葉杖と眼帯」という法則名を与えています。
――登場人物を区別するための特徴をつけろ、というものです。
ハリウッドの脚本家は、そのために登場人物に松葉杖や眼帯をつけたそうです。
しかし、日本には既に豊かな属性に足りうる人称代名詞という部品が落ちているのです。
同様のことが語尾にも言えます。
一番極端な語尾の例を挙げると、猫人キャラの「にゃ」。
「にゃにゃめにゃにゃじゅうにゃにゃどのにゃらびでにゃくにゃくいにゃにゃくにゃにゃはんにゃにゃだいにゃんにゃくにゃらべてにゃがにゃがめ」(斜め77度の並びで泣く泣く嘶くナナハン7台難なく並べて長眺め)
ブラック羽川さん可愛いですよね。あと声優さんすごいです……。
人称代名詞に話を戻します。
物語の書き手の観点で言うと、やはり日本語の人称代名詞の豊富さは登場人物の識別させるのに助かります。
そしてこの例を最後に、人称代名詞の話は結びとしたいです。
「I Am a Cat」
これはある日本の小説の英訳タイトルです。
それは夏目漱石の書籍の「吾輩は猫である」です。
印象がガラリと変わって見えませんか?
「吾輩」は見る人に尊大な印章を与えますよね。それが「I」だと……うん?
こういった日本語の豊かな表現は物語の助けになります。
そう言う観点では、たくさんの人称代名詞がこれからも書き手には必要なのかもしれません。
◇ ◆ ◇ ◆
こちらは余談ですが、人称代名詞で私が最近驚いた話が、海外のトランスジェンダーの方の人称代名詞です。
トランスジェンダーの人称代名詞については、自認する性別の代名詞か、「they」を使うのが一般的になりつつあります。
しかし、私がインターネット上で見かけた、とあるトランスジェンダーの方の人称代名詞は「god」でした。
自分が神だとは思わないが、他にいい人称代名詞がなかったことが理由だそうです。
――いや、そうはならんやろ。
あの……。お手すきの際に長編小説も見ていただけると嬉しいです……。
作者が別人かって言うくらい、夢と希望をパンパンに詰め込んだ文字数でお届けしております!




