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きみの雫で潤して  作者: 餅月 響子


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第51話 湊人の秘密

8年前の春


高校生の一ノ瀬湊人に

生まれて初めての彼女ができた。


周りからもてはやされて、

付き合ってしまいなさいよっていう流れで

どちらかが告白というよりかは

一緒にいる時間が増えてそのまま

彼氏彼女じゃないかと言われただけだった。

バスケ部の部員とマネージャーという

良くありがちなポジションだ。


そこまで彼女に対して思い入れはないが、

一緒にいて心地が良くリラックスしていた。


彼女の顔のかわいさも普通、

性格も悪くない、友人は少なめな方だが、

大事にするようだった。評判も悪くない。

名前は覚えていない。


湊人はというと、

ファンクラブができるくらいモテモテで

彼女になるには試験があるとかという話を

きいたことがあった。

あくまで外野の話だった。


実際はそんなことない。


名前を覚えていない彼女は

優しい人だと思っていた。

手を繋ぐのも、デートをするのも、

その子が初めてだった。


数ヶ月付き合っていくうちに

彼女の家に遊びにいくことになった。


夏休みの昼下がり、両親は仕事で

誰もいないのと誘われた。


健全なる高校生男子。

生唾をごくりと飲む。


彼女の部屋に2人きり。

いい雰囲気であと少しでというところで

湊人は上半身裸になった。


「ごめん、無理。できない。」


「え…。」


 興奮状態マックスでこの気持ちを

 どこに発散すべきかとモヤモヤした。

 何が行けなかったのか、

 肌を露出してしまったからか、

 触り方か、場所か、時間か、明るさか。

 あらゆる理由を探したが、

 結局何が嫌になったのかわからなかった。

 湊人はどうにか理性をおさえて

 すぐに服を着た。未遂で終わったのだ。


 嫌だというのだから無理にはできない。

 無理やりやるものじゃないって

 そう思った。


 湊人は機嫌を損ねた彼女と一緒にいるのは

 苦痛だったため、もう帰ると外に出た。


 それが彼女との最後の会話だった。


 翌日の学校で彼女は

 湊人と話すことはなく、

 部活にも顔を出さなくなった。


 モテモテだと言われていた湊人でさえも

 コンプレックスになる。

 

 本当に心を許した人でないと

 最後までやりたくないという思いを

 胸に誓っていた。


 しばらく経ってから

 同窓会で会った時に

 どうして、できなかったのか

 理由を尋ねたことがあった。


 それは、

 想像以上に筋肉が少なくてガリガリで

 細かったことと、本当は湊人をそこまで

 好きじゃなかったと言っていた。


 真実はわからないが、そう言われた。

 

 湊人は女性に対して

 人間不信になっていた部分があった。


 本能を解放できない。


 大学生24歳の今。


 杏菜はそれとは逆に本能が

 ダダ漏れている。

 羨ましかったのかもしれない。

 自分にはできない尻軽女と罵って、

 自分はそうじゃないんだと

 言い聞かせていたのかもしれない。

 ホストたるもの、女性を抱けなくて

 ずっと続けるのは

 相当の我慢をしていただろう。

 それでもいいと言ってくれる女性は

 たくさんいた。

 それで救われた部分もある。

 

 かといって、

 晃太のようにセラピストとして働いて

 克服するほどのスタミナとパワーはない。

 そもそも女性を信じていないのに

 誰でもいいわけではない。


 これはもう自分自身との戦いなのかも

 しれない。


 1人ベッドで服のまま横になって、

 風呂も入らずに寝入った。


 誰もいない空間で

 1人で過ごすのは心寂しかった。


 隣に誰かいてほしい。

 それが誰でもいいわけではない。

 

 夢の中に出てきてくれないかと

 考えてしまう。


 その想いを未だに

 認めたくない湊人だった。

 

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