ワイバーン討伐
深い深い水底からゆっくりと光る水面に浮かび上がっていく
そんな感覚を覚えながらエメットは目を覚ました
ここどこだろう?考えながら部屋を見渡すと大きなフェンリルが二頭寝そべっている
奥の椅子にはノエルさんが座っていて
「良く眠れたかい?」優しく聞かれて
「は はい」昨晩の事を思い出す
隣りにはまだメリルとアンナが幸せそうに眠っている
パンとスープ 卵の朝食を摂って 今日は一日メリルとアンナの生活を体験する事にした
先ずは農園に行き家畜の世話と果樹園と畑の見回り 住み込みで働いている黒猫獣人族のラガさん一家とエルフ族のナディアさん一家を紹介してもらい 一緒に雑草抜きや 牛や羊の餌やりをする
その後 昼食を食べ 学校に行くと平民と同じ所で勉強をするのにビックリし 夕方には屋敷に帰り寛いでいるとドアがノックされアンが出る そこにはハイジがいて
「メリル~ 今日は外で夕食なんでしょう?」勢いよく話してくる
意味が分からずハイジを見るメリル「何の事?」問い返すと
「ラテが朝からシリウス兄さんに連れて行かれたから 多分海に食材採りに行ったと思うの だから今日は外で魚や肉を焼いての晩御飯かと思って!!」
「そ そうなの?」メリルが言ったその時
「おおー ハイジ達も来てたのか?」ハイジ達の後ろからシリウスが声を掛けながら入ってきた
「ロッテさん アンさん 野菜を適当に切ってもらえますか? 今日はエメットさんの歓迎会をしますので」そう言うと台所に入っていった
魚介類と肉の下拵えをしてシリウスが出て来て そのまま牧場に行くと竈に炭を入れて火をおこす 上に金網を置き食材を置いていく
魚 貝 海老 肉を焼き 塩を振っていき いい感じになったところでメリルとアンナ エメットに振る舞っているとハイジ達も「「「私も私も」」」と群がってくる
ワイワイ食べていると黒い影が牧場に降り立ち ドラゴからクロノスとマリアートが降りて来た
「やあ 王宮から見てたらマリアートが食べたがってね 僕らもご相伴に与っていいかな?」クロノスが爽やかに言うと
「もちろんですよ クロノス王 マリアート様」気軽に答えるシリウス
こんな所に一国の王と現女神が来るのかと驚いているエメット
「クロノス王 今日はこの魚が美味しいよ」
「マリアート様 この貝がもういい感じで焼けてますよ」
ハイジやメリルが屈託なく話しかけている
「うむ やはりシリウスの料理は美味いな」ハフハフと食べながらマリアートが言うと 「そうだね」マリアートを優しく見ながらクロノスが答える
メリルやエメットと話していたハイジがシリウスの所にやって来て
「シリウス兄さん 私達もワイバーン討伐について行って良い?」
「え ああ 別に構わないよ」返事をすると
「ならば 私達も行こう」母ちゃんが横から言ってくる
「ワーイ やったあー」ハイジは小躍りしながらエメット達の方へ走って行った
翌朝 俺にノエルさん 父ちゃんにラテとトワ 母ちゃんにハイジ クラリス チェルシー 馬車に人の姿になったミドリとミズキ エメットを乗せエメットの護衛達と国を出る
結構急ぎで来たので七日目にはグレイブ領に着いた そのままワイバーンの群れの元に行くと 二十匹ぐらいが岩山に座っていたり 空を飛んでいたりした
「皆さんはここを動かないようにして下さい」馬車の御者と護衛に言って
「じゃあ 久しぶりにワイバーン討伐だ!!」ハイジ達に声をかけてワイバーンに突っ込んでいく
「「「風爪!!」」」俺と父ちゃん母ちゃんが魔法でワイバーンの翼を切り裂く
落ちてきたワイバーンにハイジ達が群がり討伐していく
岩山にいたワイバーンも叩き落とし ハイジ達やノエルさんが「ウリャー」とか「オイヤー」と叫びながら次々と倒していく
ポカポカ ドンドンと聞こえてくる音は可愛いが 皆ワイバーンの返り血で真っ赤になっている
倒したワイバーンを次元収納に入れてる間 討ち漏らしがないか周囲を探索していたチェンズが戻って来て「討ち漏らしはいませんでした それとやっぱりありました」
チェルシーが報告する
「そうか でも今日は遅いから明日にしようか」
揃ってエメット達の所に戻ると エメット含めて護衛も口をポカンと開けて俺達を見てる
「終わったよ」エメットにそう言って馬車の隊列の後ろに向かう
]「お父様 只今戻りました」執務室のドアを開け エメットが声を掛けると
「おお お帰りエメット どうだった?」椅子に座るふくよかな男性が言う
「お嫁さんにはなれなかったですけど 力を貸して頂けました」
「エッ どういう・・・」
後から入ってきたシリウスとノエル チェンズの方を見て
「シリウス旅団のみなさんです ワイバーン討伐も終わりました」
領主は椅子から立ち上がり「え え あ」声を出しシリウス達を見る
「初めまして シリウス旅団団長のシリウスです」
笑顔で手を出すと 転がりそうな勢いでシリウスの手を取り
「初めまして 私はここの領主をしておりますジョン・ヴァイ・グレイブと申します」
「して ワイバーン討伐が終わったというのは?」
シリウス達を見ながら エメットに聞くと
「そのままの意味よ ここに着く前にシリウス旅団の皆さんが討伐して下さったのよ お父様」エメットが言うと
「だが お前はシリウス様の嫁になってないんだろ?金貨もあと五千枚ほど足りてないぞ」慌てる領主
「報酬の件は後程お話させていただきます」




