冬の嵐③
お茶会当日 メリル様とアンさんと俺達四人で馬車に乗り会場に向かう
「今日のお茶会はどなたの主催なのですか?」ノエルさんが聞くと
「母を同じくする妹のお茶会です 妹も五歳の時に取り替え子である事が分かり それ以降お茶会の誘いも無くなり お茶会を開いても誰も来なくなり ずっと心を閉ざしたままだったのです 今日のお茶会もお二人に直接招待状を出して断られるのが怖くて私を通じて来て貰えないかと頼んできたのです 無理を言って申し訳ありません」
「メリル様の妹君なら 私達も会うのが楽しみだよ」ノエルさんが言うと「ありがとうございます」メリル様が頭を下げる
馬車は王城に入り 離れの屋敷に向かう
馬車を降りると玄関前に体格の良い白髪の好々爺みたいな人が立っており
「ようこそ お越しくださいました シリウス様 ノエル様 メリル様」
頭を下げてドアを開けてくれる 中に入るとメイドさんに案内されて 屋敷の奥に連れて行かれる
大きいドアの前でメイドさんは立ち止まり ノックして
「お客様をお連れしました」声をかけ扉を開ける
中に入ると少女が立ち上がって 目を大きくして俺達を見てきた
「まあ!! 本当にきていただけたのですね」声を上げ近づいてきて
「私はアリア・ヴァン・マルラスと申します 本日は私の主催するお茶会に参加して頂き ありがとうございます」
「いえ こちらこそお招き頂き光栄にございます 私は勇者の称号をいただいておりますノエルと申します アリア様のご要望とはいえ このような冒険者の恰好で参上した無礼をお許し下さい」ノエルさんが答えると アリア様はメリル様を見て
「お姉様 本当にありがとうございます 全ての夜会やお茶会を断っていらっしゃると聞いていたので本当は少し不安でした」頭を下げる
「可愛い妹のお茶会の誘いを断る理由はないわよ」悪戯っぽく笑うメリル様
「初めまして アリア様 シリウス旅団のシリウスです お見知りおきを」
言いながら右手を出すと
「私のような汚い取り替え子と握手など シリウス様の品格が落ちます」
俯いて手を震わせながら言うが
「そんな事を仰らないで下さい そんな事を言われれば私の団員達も汚いという事になります そんな悲しい事を言わないで下さい」アリア様の手を取り 上から左手を重ね笑いかけると「ご ごめんなさい 宜しくお願いします シリウス様」
アリア様の右に俺 左にノエルさん 正面にメリル様と座ると
「じゃあ ロッテお茶を淹れて頂戴」案内してくれたメイドさんに言うと
「畏まりました お嬢様」それぞれの前にカップを置き お茶を淹れてくれる 俺のカップに注ぐ時 耳元で小さな声で「ありがとうございます」と囁く
「それで シリウス様」と言いかけるアリア様に
「様付けはお止め下さい アリア様 団員達はシリウス兄さんとかシリウス兄ちゃんと呼びますので 気軽にそうお呼び下さい」笑いながら言うと
「わ 分かりましたわ シリウス兄さん では私の事もアリアとお呼び下さい」
アリアが言うと左にいたノエルさんが「私もノエル姉さんと呼んでくれないか?」
三人で笑っていると
「ずるいですわ シリウス兄さん ノエル姉さん 私もメリルと呼んで下さい」
メリルも加わって四人で大笑いして
「さっきは 何を言いかけたんだい?アリア」
「シリウス兄さんの旅団には取り替え子がいるのですか?」
「そうだね 300人ぐらいかな?」答えると
「「そんなに?」」メリルとアリアはビックリしていた
「チェインズって言うパーティーは取り替え子とヴァンパイアが
メンバーだよ 多分前にメリルを助けたのもチェインズだと思う」
「そうだったのですね」
「チェインズの活躍のおかげで 近隣の国から沢山の入団希望の取り替え子達が来てくれたけど 入団試験に残念ながら落ちた子たちも聖王国で仕事を見つけて楽しそうに暮らしているよ」
それから 今まで行った他国の話や冒険の話をするとアリアは目を輝かせて聞いている
そんな時間を楽しんでいると ドアがノックされ 先程玄関で俺達を迎えてくれた男性が現れ
「アリアお嬢様 ご歓談のところ申し訳ございません ターナー家のご息女ヘイデル様とラスティン家のアシュリー様 それに第一皇女のキリアンヌ様がお茶会に参加させろと玄関で騒いでおります 招待状の無い方は入れないと断ったのですが 家に忘れてきたと仰いますので 一応ご確認に参りました」
「今日の大事なお客様は もう揃って頂いてますわ 帰ってもらって下さい セバス どうせ どこからかお二人の参加を聞いたのでしょう」俯き声を震わせセバスに言うアリア 「畏まりました」一礼してドアを閉めて去るセバスさん 「図々しい」怒りの目でドアを見るロッテさん
気まずい雰囲気になってしまい その場を取り繕うとノエルさんが壁に掛けられた絵を見て
「このご婦人はメリルの屋敷にも飾ってたが お二人のお母さんなのかい?」聞くと
「はい 私達の母親レベッカ・ヴァン・マルラスでございます 生んだ子が二人共に取り替え子だった為 国外追放されてしまいました」メリルが答え場の空気が重くなる




