冬の嵐
聖王国からの使者としてマルラス王国へ向かう事をメリル様に話していたので メリル様の屋敷に滞在するように言われ 姫様の執り成しで明後日には謁見する事が出来るようになった
当日 メリル様の従者に案内されて王城に入り 近衛兵に先導されて謁見の間に入ると 扉から玉座の前まで この国の貴族達が並び
その中央の赤い絨毯を進んで行く
「何だ? あの見すぼらしい奴らは?」
「何故 下民が此処にいる?」 等の声が聞こえてくる
玉座の前に進み 膝をつくと
王様が「クロノス王からの使者として親書を運んでくれたそうだな 大義であった シリウス旅団団長シリウス そして勇者ノエル 」言うと
「あれが 今話題のシリウス旅団の団長!!」
「クロノス王の親書?」
「それに 勇者ノエルだと? 国王はいつの間に そのような者達と関係を?」
謁見の間がざわつく
クロノス王の親書を宰相に渡すと 宰相が王様に渡し 王様は親書を読み進み 宰相に耳打ちすると 宰相が俺達の所に来て 衛兵を呼び「第二応接室にご案内しろ 二人共申し訳ないが少し時間をくれないか?」衛兵と俺達に言う
衛兵に案内された部屋にいると ノックがされて 王様 宰相 メリル様が入って来た
国王は俺達を見て頭を下げ
「先ずは メリルを助けて貰って 父親として礼を言わせて欲しい ありがとう」
「いえいえ 偶然通りかかって 当たり前の事をしただけですので どうか頭を上げて下さい」俺が慌てて言うと
「分かった だが本当に感謝している」俺達を見てニッコリと笑い 表情を厳しくして「クロノス王の親書には 君が関わっていた案件がこの国に混乱をもたらす可能性があると書かれていたが 詳しく教えてくれないか?」
俺はゾデックの件からヴァンデーユの手元にある暗殺石の事を話す
「ヴァンデーユの血筋のミーム領の件もあります」メリル様が国王に言うと
「ヴァンデーユは反国王派の筆頭だからな 何を企んでいるのやら」
国王は何かを考え込んでいる
「シリウス殿 ノエル殿 一月後に王家主催の夜会があるのだが お二人共メリルの護衛として同席してくれないか?」国王に言われ
「クロノス王から 出来るだけ力になるよう仰せつかっております」俺が返すと
国王は破顔して「おお それはありがたい クロノス王に感謝だな」
その後 世間話をして部屋を出ると 玄関ホールに謁見の間にいた大勢の貴族 がいた
俺達が通り抜けようとすると一人の男が近づいて来て
「シリウス様 ノエル様 今度我が屋敷で行われる夜会に是非ご招待させて下さい」ニヤニヤしながら言うと
「ご招待は嬉しいのですが 私達のような下民が貴方の様な立派な貴族の夜会に出れば 貴方の家の格を落としてしまうでしょうから 辞退させて頂きます」
ノエルさんがキッパリ断わると
「ですが ノエル様は貴族の出ですよね?」食い下がる男
「今の私は出自より シリウス旅団の副団長という立場の方を大事にしている 敬愛する団長を見下すような者と共に過ごす時間等無い」言い切る
そうか こいつが下民とか言ってた奴なのか ノエルさんカッコ良い なんて思っていたら 男が退いた後 派手な宝飾品を付けたふくよかな婦人が来て
「私の主催するお茶会へ 来て頂けませんか?」
言ってくるが 先程と同じ文言で断るノエルさん
ホールを出ようとする俺達を何人かの貴族が追いかけてくるが無視してメリル様の家の馬車に乗り込む
メリル様の屋敷に着くと 許可を取り転移陣を構築し聖王国のパーティーハウスに戻りjr達に指示を出し クロノス王に報告と暫く留守をする事を許可してもらう
「そうか あの国は僕が国を興した時 最初に認めてくれて 援助の申し出までしてくれたからね 悪いけど 宜しくお願いするよ」
クロノス王に言われ 「畏まりました」答えて メリル様の屋敷に戻る
数日後 どこから漏れたのか 俺達がメリル様の屋敷に滞在しているのが広まり
冬の嵐で冷えた部屋の為に点けられた暖炉の前に二人で座っていると
メリル様が山のような手紙を持うって俺達の部屋に来た 全部が夜会やお茶会の誘いだった
「この屋敷に来て初めて私に夜会やお茶会の誘いの手紙が来ました」
メリル様が複雑な表情で話す
「護衛として 私達が滞在していると思ってメリル様が出席されれば 私達も来ると考えているのでしょうね」ノエルさんは遠慮がちに言い 続けて
「もし メリル様が懇意にしている方のお誘いであれば 私達も出席するのに吝かではありませんが?」
「いえ 私には懇意にして下さるお方はおりません」
目を伏せながら言うメリル様
「ふん! 貴族なんて下らない!」
そう叫んで手紙の束を暖炉に投げ込むノエルさん
「全くですわ」言って自分宛の手紙を同じように暖炉に投げ込むメリル様
燃る手紙の束を見ながら 薄く笑っている様に見える




