秋の収穫祭と囁きの洞窟
秋の収穫を前に大陸中に散っていたjr達が帰って来た 挨拶や報告もそこそこに
それぞれ世話になっいた人達の所へと手伝いに向かう
収穫が終わると同時に 商人達が買い付けに押しかけてきた
魔女の森の人達が作った薬品で土壌改良し 肥料によって作物は大きく実り味も良い
果物も珍しい種類が多く 希少品扱いで高値で取引される
もちろん魔女の森謹製の薬やエルフの工芸品 アジムさんの作った炭 干し肉などもある
俺もラテがいた港町に行って たまに漁をしてでかい魚はコルテにあげて 小魚は天日干しにして保存食として出品している
売られる品々は一度 神殿に奉納され マリアート様の加護を頂いて売られる
一番人気は魔女の森の薬で熱冷ましや傷に塗る軟膏だ 今回は殿方専用の薬も売られており こぞって商人が買い求めていた どうやら 前に渡したマンドラゴがいい仕事をしたようだ
その日の内に試した夫婦もいたようで 貴族に売れると大量に買い付けしていた
商談会と同所に国の者を雇いたいとの嘆願も出される
読み書き 計算 ある程度の礼儀作法も知っているので 商人や貴族の面々から人気なのだ
変わった所では料理の幅を広げたいとコルテの店の従業員を欲しがる者や 教会が無いので神官とマリアート様の弟子を希望する者もいる
「また 一から教えなきゃいけないのか」と悪態をつきながらもコルテは嬉しそうに送り出す
神官とマリアート様の弟子はマリアート様が許可を出せば赴任地に向かう
五年前に国を出た若者が店を構えたので妹を引き取りたいというのもあった
jr達も冒険者から 商人や農家になる者もいる
この夜は お別れ会と商談会の成功を祝う宴会が催される
コルテの新しいスパイスを使った料理も美味く 改めてこの国の作物の美味さを認識した
次の日 大量の荷物と新しい従業員を乗せて商人達は国を出る
一応希望する者にはjr達の護衛をつける
国を出る人もいれば 戦災から逃れて移住希望の人々も相変わらず多い
未だ未開墾の土地も多いのでクロノス国王も歓迎している
移住してきた人から 移住元の国に「囁きの洞窟」というのがあり 魔物が出る訳では無いが 何人かの子供が行方不明になったとの噂があるらしい 冒険者も何組か調べに入ったようだが 誰一人帰って来ないそうだ
「何か 面白そうだから調べてみないか?」
久し振りの帰って来たハイジ クラリス ラテ トワに聞いて みる
「「行きましょう!!」」皆 良い返事だ
話を教えてくれた人に詳しい場所を聞き 旅の準備をしてると 母ちゃんと父ちゃんも興味を持ち一緒に行く事になった もちろんノエルさんも一緒だ
久し振りの面子で中々楽しい ハイジ達四人が大きくなっているのに驚いた
俺の中では まだまだ子供の認識だったから 嬉しいような寂しいような変な感じだ
とは言っても 野営の時にはマッパで潜り込んでくる 皆 いいお年頃だろ
母ちゃんにハイジとクラリス 父ちゃんにはラテとトワ 俺には当たり前のようにノエルさん
道中 兵士崩れの野盗に襲われている人を助けたり 魔物に追い詰められた人を助けり その人々を聖王国に送ったりもありながら二週間程で目的地に着く事が出来た
岩場の街道から 少し外れた場所にそれはあった
断崖にポッカリと開いた洞窟からは 確かに囁き声が聞こえる
「…」何を言ってるのかは 分からないが女性の囁き声が耳に入ってくる
先ずは 様子見に俺が入る 後ろから母ちゃんがついて来るが 低く唸っている
「どうかしたのか?」俺が聞くと
「人でもない 魔物でもない 変な匂いと雰囲気だよ」
奥に着くと男女の冒険者が倒れている 息はまだあるようだが皆やせ細って苦しそうだ
「坊や そこにいたのね? お母さんの所においで」最奥の方から女性の声がした
「お母さん!!」そう叫んで走り寄ろうとした時 母ちゃんに袖を咥えられ止められ拍子にしりもちをつき我に返った
「どうしたんだ 俺は?」頭が混乱して母ちゃんに聞くと
「惑わされたんだよ あの魂の集合体に」奥の方を見やりながら毛を逆立てている
「あれは 人でも魔物でもい 今の所は…」
「今のところは?」不思議に思って聞くと
「あれは 子供を失くした母親の魂の集合体だ それに厄介なのが干渉している」
言うや 奥に走り出して 黒いモヤのようなモノに噛みついた
「ヒーン」と耳障りな音を残してモヤは消えた
入口に戻りクラリスを連れて来て 浄化の魔法を唱えてもらう
ハイジにはポーションを倒れている人達に飲ませ ラテとトワと一緒に外へ運んでもらう
「お兄ちゃん 浄化は終わったよ」クラリスが少し疲れた声で言い 母ちゃんも
「これで 大丈夫だろう」と奥を見つめながら 溜息を吐く
「子供の事となれば 母親というのはあんなに狂おしくなるのさ」




