シリウス(人間)とシリウス(犬)
暗い世界に俺はいた 向こうから暗いながらも白っぽい犬が近づいてくるのが分かった
「シリウス(人間)よ お嬢が世話になってるな」犬が喋った!!
「おまえは 誰だ?」警戒しながら聞くと
「我はシリウス 元お嬢の飼い犬だった」
「お前が シリウス(犬)か!!」
「まあ 犬じゃなくてフェンリルなんだけどな 生まれて直ぐに親とはぐれて
魔法も戦い方も教わらずにお嬢の所で普通の犬として過ごしてたのだ ただ死んだ
事でフェンリルとしての能力が目覚めたんだ 今更だがな そこでお前に提案と言うか
頼みがある 我はお嬢の事が大好きだった 今でも見守っている だからお前の
心の隅っこでもいいから 我を置いてくれんか? もちろんタダでとはいわん お前に
我の能力を使えるようにしてやろう」頭を下げてシリウス(犬)が哀願する
「う~ん 好きな人とは一緒にいたいよな~ お前を心に住まわせる事で俺に何か
不都合とかはないのか?」
「いや 無いぞ むしろ 風魔法が使えるようになったり五感が鋭くなったりと
良い事づくめだ」しりうす(犬)は言うが なんか胡散臭い
「まあ いいか」俺は了承した
目を覚ましたらノエルの膝枕の上だった
「シリウス(人間)大丈夫か?痛い所は無いか?」ノエルが優しく言ってくる
「クゥ~ン」俺が声を出すと強く抱きしめてきた シリウス(犬)め早速影響が出てるじゃねえか!!
周りを見るとカイザーオーガだったらしきモノがみじん切りにされていた
「クラリスが助けてくれたんだよ」泪交じりにクラリスをノエルが見る
「シリウスさんのパフがまだ効果が残ってたのでハイヒールがパーフェクトヒールなみの効き目がありました」
「それと シリウスさんが怪我したら 急にノエルさんが狂戦士化して あっという間にカイザーオーガを
細切れにしたの」ハイジが少し青ざめた顔で教えてくれる
(森狼の時もそうじゃったのう)犬が頭の中で囁く
コアはクラリスに割ってもらう事にした 命の恩人だし ノエルにとっても俺を救ってくれた事を有難く思ってるらしい
ハイジとクラリスは交代で割ってたらしく 今回hちょうどクラリスの番だったをそうだ
クラリスの割ったコアで最上級の風魔法を覚えたそうだ
ダンジョンから帰ってきて街をぶらついていた時 ある違和感を覚えた 街角や目立つ木の横を通る時
尿意を催すのだ これはあれか犬のマーキング本能なのか?やっぱり出ていってもらおうかな
(なあシリウス(犬) お前は小さい時に親とはぐれたと言ってたが 何故母親は追いかけてこなかったんだ? 自分の子供の匂いぐらい追えるんじゃないか?)右足で右耳を搔きながら頭の中で聞いてみる
(我も それを考えたが結局分からん 気づいた時には母親の匂いもしなくなっていたからな)
「ねえ 隣国にBランクダンジョンが出来たそうよ 一緒に行かない?」
宿屋で飯を食ってるとハイジがいきなりやてきた
「隣国?メジナス王国の事か?」ノエルがちょっと嫌そうに言う 俺ってノエルの事はシリウス(犬)の事しか知らないな
「ノエルって もしかしてメジナス王国出身出身なのか?」
「そうよ ただ家には帰りたくないの 嫁入りの話しかしてこないから」
「ふ~ん 良いとこのお嬢様なんだ?」(そうだぞ 本来お前ごときが話していいお方では無いからな)うるさい犬だ
「でね 聞いて 聞いて あの後何人か付与術士と行動したんだけど シリウスさん程の力を持ってるのはいなかったの」
ハイジが話に割り込んでくる
「でね 私たちも初アタックになるから 二人がいれば安心かなと思って」
「この前 世話になったからね いいよ 一緒に行こう」ノエルが笑いかける
「ノエルがいいなら 俺も行くよ そう言えば シリウス(犬)ってフェンリルだって知ってた?」
「誰がそんなことを?」(いや 本人が言ってるんだけどね)
「まあ 犬にしては大きかったな 横になると私二人分ぐらいあったし」(そんなの犬じゃねえだろ)
「で?誰がそんな事言ってんだ?」面倒くさいからぶっちゃけちゃおうかな いや そんな事言ったらノエルのスキンシップが激しくなるな 止めとこう
「夢にでかい白犬が出て来て自分はフェンリルだ いつもお嬢を見守っているって言ったんだ」
「何故 わたしの夢に出てこない?」本気で俺の首を絞めてきやがったので洗いざらい白状した
[ク~ン]また勝手に出やがったな犬
ーと言う訳で俺らはノエルの領地に来ている ノエルは侯爵様のお嬢様だった
新しいBランクダンジョンがノエルの家の近くらしいので一時逗留させてもらう
当主よ 胡散臭そうに俺を見る目と微笑みながらハイジとクラリスを見る目の違いはどういうことだ?
侯爵様の娘だから お見合いやお茶会 夜会の誘いが凄いらしい それどころか勇者としての名前も売れてるので
自称 最強の戦士 最高の魔法使い 至高の賢者とかいろいろ来るらしい
「この前も この近くで10数年前フェンリルを封印してこの地を救ったとか言うのがやって来て 勇者に一番相応しいのは自分だ」
とか突撃してきた馬鹿がいたそうだ
「「ん?」」俺とノエルの目が合った
シリウス(犬)が侯爵様のお屋敷に来たのも その頃だ 何か関係あるのか?
「父上 その者はまだこの地にいるのですか?」ノエルが興奮気味に尋ねる
「ああ ついこの前来たから まだ居るんじゃないか?名前はラミスだったかな?」侯爵様が仰る
もしかしたら そいつがシリウスの母を封印したのかもしれない ノエルも同じ考えのようだ
「皆 出かけるぞ」屋敷を出てハイジとクラリスに簡単にシリウス(犬)の事を説明する
街に着いて 別れてラミスを捜す
四人で宿屋をしらみつぶしに当たって ラミスを捜す
5件目で受付に「ラミスという男が泊まってないか?」と尋ねていたら
食堂で飯を食っていた小太りの男が
「この国の至宝と言われる大賢者ラミスとは 儂の事じゃ 何か用か?平民」
「お前が昔 フェンリルを封印したというのは本当か?」睨みつけながら聞くと
「平民ごときが 口のききかたも知らんのか? 確かに儂がこの地でフェンリルを封印したぞ 他の地ではドラゴンも封印したじ」
「ウォーン」宿の外に出て遠吠えをする これで皆集まってくれるだろう
ラミスの首を引っ掴んで宿の外に放り出す
「この平民が ふざけるな!!」喚いて火球を俺に放つ 「防御」軽く防いで首に
噛みつく 止めろ犬 傍から見たら俺が変態みたいじゃないか
一番最初にノエルが駆け付けた「クゥ~ン」俺は鳴きながらノエルにじゃれつく
感情が昂ったシリウス(犬)にほぼ身体をのっとられているな
俺にじゃれ付かれながら ノエルは小太りの男に
「お前がラミスか?」と鷹揚に聞く
「そうだ 我こそ至宝の大賢者ラミス様じゃ 貴様は何者だ 小娘?」
「おお!!これは失礼した 私は勇者をやっているノエルだ」
「な!なに!?」イヤらしい目でノエルをじっとりと見るラシス
「そうか そうか わざわざ我を見つけに来たのか? その顔と身体じゃ 結婚してやらんでもないぞ」
流石に気持ち悪くなったのか「シリウス(人間)やれ!!」と仰る
「わん!!」一声鳴いて ラミスをぶん殴る あれ?今のって俺?犬?どっちの感情だ?
ハイジとクラリスも来てくれたのでラミスを担いで一旦屋敷に帰る事にする
屋敷の地下牢にラミスを放り込み 尋問を開始する どうやら本当に14年前この近くでフェンリルを封印したらしい
理由はただの力試しでやったそうだ
封印場所に案内させ 封印を解くように促す
「解除」一声で封印が解ける 俺は術の構成を覚える 白いモヤが辺りを包み込み モヤが晴れる瞬間 突然フェンリルの顔が
飛び出しラミスの頭を食いちぎった 続けて俺らを襲おうとしたので 俺が前に出て皆を守ろうとした時
ボシュンと音と共に俺の身体がでかい犬に変身していた モヤの中から出てきたフェンリルの動きが止まる
「母上!!私だ」犬語で俺が喋っている
「なんだと!! この匂いは我が子なのか?」わんわん言ってるだけだけど 俺には何を言ってるのかが理解出来る
二匹(俺も入れると一人と二匹)はしばらく見つめ合い
母ちゃんフェンリルが俺(現在犬姿)を前脚で優しく抱きしめた 二匹で語る事も多々あるだろうと俺は意識を逸らした
おれが意識を戻した時には シリウス(犬)の身の上話も終わりノエル達を母ちゃんに紹介していた
「子の面倒を見て頂き 誠にありがとうございます しかし森狼ごときに負けるとは情けない」
ノエル達は何を言われているのか分からないだろうから 俺が通訳した 犬の身体でも人語話せるのは驚いた
ラミスの事は無かった事にしてフェンリル母ちゃんと共に屋敷へ戻った
まあ 今日一日ぐらいはこの姿でいてやるか




