05
まだ朝も早いのに、すでにお日さまがケンカ売ってきてますよ。
最近、妙に蒸し暑いんだよ。
でもおかしいな、
このリヴァイス大陸は日本よりも過ごしやすい気候だって聞いてたんだけど。
確か、四季はあるけど移り変わりは穏やかで極端な変動はせず、だったはず……
「この天候、明らかにおかしいですね」
「そういえば、異常気象を引き起こす魔物がいたはず」
ほう、どんな魔物なんです?
「天候を操る能力に長けた、確か……五色竜」
「日照りに困った村人の願いを叶えて雨を降らせたとか、故意に大嵐を起こして止めて欲しいなら生け贄を寄越せと要求したとか、様々な言い伝えが残されています」
なるほど、その竜さんだとカンカン照りもざんざ降りも自由自在ですか。
ただ、敵か味方かは不明、と。
「伝説では、そこそこの高さのお山を好んでナワバリにするそうです」
なぜ"そこそこ"なんです?
「あまり低いとカッコ悪いし、あまり高いと崇める人が来てくれないから、だったはず」
何となく、めんどくさそうな竜さんの予感。
「この近辺で条件に合うお山は……南のオタケ山くらいでしょうか」
「ふもとにアネスの町がありますし、条件的に五色竜が好みそうなお山ですね」
では早速、アネスの町に行って聞き取り調査かな。
もし竜さんが異常気象の原因なら、町で何か情報を聞けるかも。
『竜退治!』
いや、いきなり退治する前に、まずは穏便に話し合いからでしょ。
でも問答無用で襲いかかってくるような邪竜なら、
竜頭蛇尾、じゃなくて、徹頭徹尾容赦ナシッ。
『ドラゴンバスター・シジマ!』
あー、そうだった、
そんなのやらかしたら、やっぱやたらと目立っちゃうよねえ。
確かに過剰な隠密性は求めない方向にぶらり旅の舵取りするけど、
ドラゴンスレイヤーな英雄や魔王討伐な勇者したいってわけじゃないから。
……まあ、案ずるより産むが易し清しってことで。
とりあえず、何かやらねば何も始まらぬ、なのですよ。