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育成 2

 クララはアードラーに乗り込んだ。バクバクと期待で心臓が高まる。


 そんな自身を落ち着かせようと、ゆっくりと。そして深く深呼吸をする。


「よし」


 目の前を真っすぐに見据える。目の前には銀のヴルムが三体並んでいる。


「それでは演習、はじめっ!」


 そう声をかけた瞬間、ヴルム三体が一斉にばらけた。かと思うと、アードラーの周囲を取り囲み、一気に襲い掛かってくる。


「!」


 なるほど。先手必勝。一気にこちらを叩く作戦ね。


 クララは操縦桿を下げて、機体を上昇させる。だが、三人共それをよみ、フォーメーションを変えてくる。


 一機はクララの上空をすでに陣取っている。


 なかなかやるなぁ。


 アードラーを空中で停止させ、後退させようとするが。後ろにもヴルムが待ち構えている。さらには左にも。

 右側だけががら空き状態だ。


「…………」


 さて、どうするか。ここで右に傾けたら、一斉に攻撃される未来が見える。……明らかな罠だけど。


 クララはあえて機体を右に傾ける。と、後ろの機体がクララに合わせて右に移動してきた。その瞬間、上にいる機体がこちらに向かってカラーボールを連射してくる。

 咄嗟に左に移動しようとするが。


「!」


 左のヴルムも銃を構えている。


 クララは思わずニヤリと笑ってしまう。


 三人で協力。きちんと出来ている。でも。…………簡単に当てさせはしないんだから。


 左ボタン板の上矢印を押しながらアードラーを下げる。ヴルムの最大速度だ。けど。――この機体の最高速度じゃ、ないっ。


 クララは慣れた手つきで、左のヴルムの下を潜り抜ける。潜り抜けながらしっかりとヴルムを捉えた。


 ――――よし、今!


 銃を構え、カラーボールを当てる。見事、ヴルムに黄色のカラーボールが当たった。

 続けて最高速度で、上空にいるヴルムを狙いに行く。


 だが、さすが優秀なだけある。部下はすぐさま判断して、一気に機体を下がらせた。


「……」


 さて。ここからどう出るか……。


 クララは思考を巡らせる。


 前よりも格段に良くなっている。チームワークも。動きも。それに……。


 クララは離れている二機のヴルムをジッと見つめる。


 前はフランチィスカがどの機体に乗っているか分かりやすかったが。今日は違う。カラーボールを当てた機体なのか、それとも目の前の二機のどれなのか。分からない。

 本気で勝ちに来ている。


 クララはゆっくりと深呼吸を一度する。


 もうかなり成長している。けど。あと少しだ。


 思い出すのはエーレント伍長と一緒に戦場へ出た時。西の山から敵機がきて取り乱したこと。そして……エーレント伍長が亡くなった後に放心してしまったこと。


 人は予想外のことが起きると、自身を制御できなくなる。だから。私がすべきことの、あと少しとは……。

 予想外のことをされた時に、冷静になれる対応力を育てること――。


 クララは引き続き、後退したヴルムに迫っていく。


 さあ、どうでる……。


 クララの操縦するアードラーに迫られ、ヴルムはどんどんと後退する。


 このままいけば、相手は規定の二万平米を超える!


 そう思ったが……。


 真横から別の機体が、こちらに突撃してくる。


「!」


 咄嗟に操縦桿を引いて、後方へ下がる。割り込んで来た機体はそのままカラーボールを撃ってくる。

 クララはさらに後方に下がらざるを得ない。


「……」


 このパイロット、なかなかやる――。割り込んできたことで、後ろにいる機体に後退の必要性をなくしたんだ。


 一人一人の咄嗟の判断力はまだまだなところもあるけれど。コミュニケーションはとれているようだし、こうやって協力して非常事態にも対応できている。


 クララは満足気に頷く。


 私が教えるべきことはない。だから。――さあ。そろそろ決着をつけないと。


 カラーボール銃を構え、フッと息を吐き出す。そして一気に二機のヴルムに向かって行く。二機は左右バラバラに散らばった。


 クララはすぐさま右のヴルムに狙いを定める。というのも先程追いつめていたのが、右のヴルムだったからだ。


 完全に態勢を整えられる前に、攻めるっ!


 クララはカラーボールを発射する。攻められたヴルムは、後方はまずいと機体を下に下げる。


 今!!!


 クララは真上からカラーボールを連射した。真上から攻められて、逃げ切れる人物は少ない。

 カラーボールは見事に相手に当たった。

 そのままの勢いで、クララは左のヴルムに向かう。


 最初に攻撃したのは相手だ。カラーボールを撃ちながら、確実にこちらに迫ってきている。


 やっぱり。さすが優秀と言われるだけある。一対一になった途端に、攻めにくくなる。


 クララもカラーボール銃を撃ってはいるが、相手が大きく上下左右に動くため、狙いが定めにくい。そしてそれは相手も同じだ。


「……」


 しばらく撃ってはかわし、撃ってはかわしの状態が続く。…………だが、終わりは唐突に来た。

 相手が弾切れをおこしたのだ。


 相手はカラーボールを手当たり次第に撃っていたが、クララはここぞという時にしか連射していなかった。

 その差が大きく出たのだった。


 クララは相手に容赦なくカラーボールを当て、二回目の演習は終了となった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


やっぱり、戦闘シーンって書いていて楽しいなぁ。

次回から、スパイ編が加速する予定ですので。皆様お楽しみに!

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