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疑心暗鬼

―フランチィスカ視点―




 クララとランツェの演習を見学し終わり、フランチィスカは思いきり息を吐く。軍には少しずつ慣れてはきていたが、上の立場の人に囲まれるのはやはり緊張する。

 フランチィスカはメッサー、アームングと共に地下にある自室に向かう。


「なぁ」


 メッサーがおもむろに声をかけてきた。


「あの演習、どう思う」

「どう思うって……。迫力満点で凄かった、と思ったけれど」


 そう返すとメッサーはしばらく黙って、「じゃあクララ兵長のことはどう思っている」と質問してくる。


 やっぱりここ最近のメッサー。様子がおかしい……。とはいえ、メッサーが信用できる人間だということは私が一番知っているし。


 フランチィスカは「まだ軍に入って短いのに。凄いなとは思うけれど」と返す。メッサーは視線をそのままアームングに移した。


「え? 俺?」


 唐突にメッサーから話を向けられたアームングは少し困った表情をした後、「おおむねフランチィスカと同じだけど」と答える。


「しかも他国から来ているっていう話ですし」


 するとメッサーは「そこなんだ」と口を開く。


「軍に入ってまだ短く、しかも他国で。こんなに評価されるものなのか」

「…………」


 メッサーの言葉にアームングも黙ってしまう。


「ちょ、ちょっと、ちょっと。メッサーどういうつもり? クララ兵長は実力で認められているのに」

「だがな。周りに持ち上げられているだけ、ということもあるじゃないか」


 フランチィスカはムスッと口を尖らせる。


「前も言ったと思うけど。ここ最近のメッサー変だよ。それにクララ兵長は凄いのっ。私の相談にものってくれたし。それに言葉の節々から私達のことを思ってくれているのが分かるし」

「ん、ちょっと待て。相談?」


 そういえば兵長の部屋に行ったこと……言ってなかった。


「う、うん。まぁ」

「どんな相談をしたんだ」

「それはー…………」


 まさか言えない。あなたのことですよーなんて。


 フランチィスカが言葉を濁していると、メッサーが深くため息を吐く。


「とにかく。クララ兵長と深く関わるなよ」

「なんで」

「なんでも」


 メッサーはもう話す事は無い、と足早に地下通路を進んでいってしまう。


 フランチィスカは再びムスッと口を尖らせた。アームングに視線を移すと、アームングは両手を上げて首を横に振る。


 お手上げ、か。


 フランチィスカはメッサーのガッシリとした背中を、自室に戻るまで見続けていた。



いつも応援していただいてありがとうございます。


フランチィスカ、可愛いんですよ。この小説に限った話ではないけれど、女性キャラに萌えを感じがちです。

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