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整備 2

 当たり前すぎる質問をしてしまった。


「ええ、もちろん」とシャルは頷く。


 クララはホッと息を吐く。


 となると……。また部下たちの演習を見るついでにアードラーに乗って。


 そう考えていたところに「良ければ」とクンペルが口を開いた。


「今日アードラーに乗るか」

「え。そんなこと出来るんですか」

「短い間ならなんとか。上手くいけばランツェ伍長と一緒に飛べるかもしれない」

「!」


 ランツェ伍長と一緒に飛ぶのは始めてだ。


 クララは「それじゃあお願いします」と頭を下げたのと同時に、「あ。それと」と言葉を付け加えた。


「第九部隊の皆も呼びたいです」




 一時間ほど経ってクンペルがランツェを伴ってアラートハンガーに戻ってくる。クララはすでにメッサ―の部屋で部下三人を確保していた。


「すまない。遅くなった」

「いえ」


 クララがそう返答するのと同時に第九部隊は背筋を伸ばして敬礼をする。


「それで。とれた時間が一時間もないが。いいか」

「はい」


 クララはしっかりと頷いた後、ランツェへ視線を向ける。


「ランツェ伍長もわざわざすみません」

「いえ。そろそろ私達も飛行訓練に入らなければと思っていたところですから」

「ありがとうございます」


 クララは今度は第九部隊の三人に目を向ける。


「皆さんもすみません。せっかくの休みなのに呼びつけてしまって」

「「「いえ」」」

「ただ他の人のヴルムの飛行を見ることも参考になると思いますから」


 すでにパイロットスーツを着ているクララはランツェに頷く。


「それではよろしくお願いします」

「ええ」


 ランツェが頷いたのを確認して、クララはアードラーに向かう。盾の強度を強くしているらしいが、見た目には何も変わっていない。対するランツェが乗るフックスは武器の数がより一層増えて、さらに頑丈な見た目になっていた。それに色も銀だったのが薄茶色に変更されている。


「……」


 エーレント伍長が亡くなってから、いろいろと改善点があったんだろうな……。


 クララはフックスを横目にアードラーに乗り込む。操縦席までついてヘッドフォンをつけると、「それじゃあ軽く飛びましょうか」とランツェの声が聞こえてくる。クララが「はっ」と返すとフックスが一気に上空に上がった。クララもアードラーの速度を一気に上げる。もちろんすぐにアードラーはフックスに追いつくが……。


 お、重い。遅い。扱いづらい。


 重いから速度が落ちるとは言っていた。おそらくはそこまで速度は落ちていないと思う。だけれど、何せ操縦桿を動かしてから実際にアードラーが動くまでワンテンポある。

 これは…………乗りこなすには時間がかかる。


 クララは速度を落としてフックスの少し後ろを飛行するよう心掛ける。と、急にフックスが百八十度回転した。ハッとする暇もなくフックスがこちらに向かってくる。


「ちょっ!!!」


 クララは一気に機体を降下させる。何か不具合でも起きたのかと思ったが、降下したアードラーをフックスが追ってきてそうではないと悟る。


 なんで!? こんなのは聞いてない。


「ランツェ伍長!」

「……」

「これはどういうことでしょうか」

「…………」


 クララはヘッドフォン越しに声をかけるが答えはない。


「っ」


 クララはランツェの攻撃を避けていく。

 操縦がワンテンポ遅れるとはいえ、アードラーの方が速い。クララはアードラーを巧みに操って、フックスの体当たりを避けていく。だが戦場に出た経験はランツェの方が上だ。ランツェはクララの思考を読んで、素早くアードラーに追いついていく。

 よってアードラーの方が性能も速度も速いのに、クララの方が追いつめられていった。


 なんとか。なんとかしてフックスの動きを止めないと……。


 フックスが右側から攻めてくるのが見え、クララはアードラーを左へ動かす。だが左に動かした時には先回りされていて、フックスの右の拳がアードラーの脳天を直撃する。


「ぐっ」


 グラグラと機体が揺れる。その間にもフックスは左の拳を振り下ろそうとしている。


 このままじゃ一緒に飛行訓練どころか、アードラーが使い物にならなくなる。


 クララは即時に判断して盾を取り出す。だがこれがまた重い。クララが盾を取り出すより早く、フックスの左拳がアードラーの腹にめり込む。


「っ!!! こんの!!!」


 血が一瞬にして沸騰する。クララもアードラーの右足を振り上げた。だが――。


「落ち着いて!!!」


 ランツェの鋭い声がヘッドフォンから響く。


 落ち着いて、だって。今さら何を。


 怒りはまだ収まらない。グツグツと血は煮えたぎっている。


 そんな中、ランツェは「落ち着いて下さい」と先程と打って変わって優しい声でクララを宥める。

 その優しい声にクララは操縦桿の手を一度離してフーと息を吐いた。徐々に徐々に気持ちが落ち着いてくる。

 気持ちが落ち着いてくるのと同時に、クララの中に疑問が生まれてくる。


 今は普段通りのランツェ伍長だ。それなのに何でさっきはあんなことを……。


「…………」


 アードラーをゆっくり地面に降ろす。ガタガタと機体が揺れた。その振動でクララはハッとする。


 もしかしてランツェ伍長は……。



ここまで読んでいただいてありがとうございます!


戦闘シーン、書いてて楽しいなぁ~

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