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部下 4

 ロイヒテが出て行き、後にはクララ、クンペル、ランツェが残る。お互いがお互いの顔を窺っていて気まずい状況だ。しばらく気まずいままの状態が続く中、最初に口を開いたのはクンペルだった。


「クララ」

「はっ」

「先程のロイヒテ少尉との話だが。どういうことなんだ」

「………………」


 やっぱり聞いてきたか、とクララはグッと拳をつくる。


 ロイヒテ少尉なのかフルーク王なのか。指示をしている人物は分からないけれど。クンペル曹長も知らないという事は、少尉以下には知らされていないんだろう。――――トリューベ国のことは。


 クララは黙って首を横に振る。


「…………すみません。…………何も言えません」


 クンペルは「……そうか」と頷く。


「分かった。この件についてはもう何も言わない。から、安心してくれ」

「すみません。助かります」

「それじゃあ、俺はまだやることがあるから。もう行くよ。ランツェ伍長もこれ以上は深く突っ込まないように」


 そう言ってクンペルは先に出て行ってしまった。


「……」

「……」


 ランツェはスキンヘッドの頭を乱暴に掻いて、「俺たちも行きますか」とクララに声をかけた。


「はい」




 クララはランツェと共に訓練場に戻ってくる。アームング、メッサ―、フランツィスカはクララの言った通りに休んでいるようで、訓練場の端にある横長の椅子に三人仲良く座っている。


「それでは俺もここで」

「はい」


 クララはふっと軽く息を吐いてから、ランツェから離れて第九部隊の三人の元へ向かう。三人は私が近づいていることに気付いていないのか、仲良さそうに話している。


 いいなぁ、羨ましいなぁ。


 クララはほんの少し切ない表情で三人を見つめる。


 レーゲン国の時は王妃候補で味方なんていなかったし。フルーク国に来た時も。助けてくれる人はいたけれど、同じ境遇の人なんていないし。途中から軍人になったから同期もいない。

 だから何か困った時に話を聞いてくれる存在が羨ましい。まぁ、だからこそフランツィスカのように嫉妬や劣等感も生まれてしまうのだけれど。


 そんなことを思いながら、三人に近づく。と、ハッとしたようにスキンヘッドと頬の傷が特徴的なアームングが立ち上がった。続いてメッサ―とフランツィスカがこちらを確認して、急いで立ち上がった。


「すぐに気付くことができず申し訳ありません」と身長があり、黒髪短髪のメッサ―。


「いえ、そっと近づいたのはこちらですし。気にしないで下さい」


 クララは笑顔で答えて、三人に椅子に座るよう指示をした。クララは並ぶようにしれっと横長の椅子に座る。


「三人は同期だよね。最初から仲が良かったの?」

「「「?」」」


 三人共、質問の意図がよく分からずお互いの顔を見合っている。


「急にごめんね」と苦笑いをしながら、クララはあえて軽い言葉づかいをする。


「三人共基礎体力はあるし、優秀だって聞いてね。ヴルムの操縦がどうかは見てからじゃないと分からないけれど。上手かったら早めに集団演習に入ろうと思っていて。そうすると三人の性格とか、いろいろ知っていた方がいいし。……それに私も三人と仲良くなっておきたいと思って」


 クララは横目で三人の表情を伺う。


「それなら」と最初に口を開いたのはフランツィスカだ。


「私とメッサ―は軍に入る前からの幼馴染で。アームングとは軍に入ってから話すようになって」

「へぇ~。メッサ―はともかく、アームングともこの部隊に入る前からの知り合いなんだ」


「はい」とアームング。


「といっても同じ成績同士でグループを組むことがよくあって。それで自然と仲良く」

「なるほど」


 よく出来たシステムだ、とクララは感心する。


 本格的に演習練習をするときに協力しやすくするためだろう。新兵を教える方も同じ成績同士にした方がやりやすい。


 クララが感心していると、ふとメッサ―がこちらを訝しむように見ていた。


「!」


 クララはゴホンと軽く咳払いをする。


「多分、皆も知っていると思うけど。私は他の国から来ていて」


 自分の身の上話を少しする。


 このまま自分のことを話さないのも不公平だし。怪しまれても嫌だし。


「どうしてわざわざ他の国から」

「あ~……」


 メッサ―の問いかけにクララはほんの少し目線を上に向けた。


「言いづらいんだけど。実は私、婚約破棄されて」


「婚約破棄!?」とフランツィスカが声をあげる。


「ええ。シャル整備曹長と同じような感じでね。衝動的になって思わず自分の国を飛び出したものの、どうしようかと思っていたところをこの国に拾われたんだよ」

「へぇ~」


 フランツィスカが納得したように声を上げる。


 適当に嘘を言っちゃったけど。まぁそこらへんはシュティル大佐が上手くやってくれるだろう。


 そう思って微かに苦笑いをする中、メッサ―だけがまだ訝しむ様な視線を向けていた。



いつも読んでいただいてありがとうございます。今回はフルーク国の軍人のなり方について。


フルーク国の軍人はだいたいがエータンローズ(戦争で身寄りをなくした子供が入る施設)で育った人が多いです。もちろん希望すれば、軍人以外の職も選べますが。エータンローズでは早くから軍人教育をしているので自然的にそうなっていく流れです。

一般公募ももちろん行っています。


軍人に志願してからはまず筆記試験、体力試験を受けて。そこから約一年ほど軍人教育。一年後に再び筆記試験、体力試験、どこの部隊に入りたいか(陸・空・海)の聞き取りをして、正式に部隊が決まっていきます。

メッサー、アームング、フランツィスカは正式に部隊が決まって新兵に成りたてです。新兵とはいえ、いきなり戦場に出すわけにもいかないので。兵長がどこまで使えるのか見極めて、上に報告。上から了承が出れば実践となります


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