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残したもの 2

 クララが落ち着いたところで、シュティルは部屋の小型タッチパネルを勝手に使ってオニオンスープを二つ頼む。五分程経ったところでコンコンとドアをノックされた。シュティルは三十秒くらいわざと待ってから、ドアを開けてプレートに乗ったオニオンスープを持って来た。厨房係が気を利かせてくれたのか、オニオンスープの他に小皿に盛られたナッツもある。


 通常は頼んだ飲み物や食べ物を部屋まで運んでくれるのだが、クララが女性という事でドアの前に食事を置くようになっている。


 シュティルはテーブルにプレートを置くと「まあ飲め」とカップを差し出した。カップからは湯気が立っており、コンソメのいい匂いがしている。


「とりあえず胃に何か入れた方がいい」

「……はい」


 クララはシュティルからカップを受け取る。

 手の平がジワッと温かくなって、クララはホッと息を吐く。


 クララはゆっくりとカップに口をつけた。

 スープの温かさが体全体に染み渡る。コショウが効いていて、少し辛めの味付けだ。


 一度胃の中に物を入れると途端に食欲が湧いてくる。クララはナッツに手を伸ばしてバクバクと口に入れ始める。


「それにしても」


 シュティルが口を開く。


「あんなになるとは正直意外だったな。クララは基本冷静だし。内面はともかく、表面上は繕えるものだとばかり」

「……そう、ですね」


 自分でもどうしてああなったのかは分からない。いつもなら自分の感情を隠すことができていたのに。でもきっと。


「それだけエーレント伍長を大事に思っていた……んだと思います」


 そう口にした瞬間、エーレントの顔が浮かんできてクララまた涙が浮かびそうになる。それをグッと堪える。


 シュティルは「そうか」と呟くとたどたどしくクララの頭に手を乗せる。


「この先、アードラーには乗れそうか」

「…………」


 クララは黙り込む。

 今もまだエーレントの乗っていたフックスが燃え盛るところが脳裏に焼き付いている。


 それでも。


「――乗ります」


 アードラーから降りるという選択肢は選ばないし、選べない。

 私はエースパイロットになるって決めたんだ。それにここでアードラーを降りてしまったら、エーレント伍長が残してくれたものが引き継げない。


 クララはシュティルに真っすぐ目を向け、強く頷いた。


いつも読んでくださってありがとうございます。


カレーもそうですが。基本的にフルーク国の食べ物は辛いです。汗をかいて体温を下げなきゃいけないので。

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