シャル・アイン 2
クララは食堂に入ってカレーを頼む。隣に座ったエーレントも同様にカレーを頼んだ。エーレントはポツリと口を開く。
「シャル整備曹長も悪い奴じゃないんだ」
「それはもちろん分かっています」
元気でハツラツとして可愛らしい女性だった。
「シャル整備曹長はどうして軍に?」
クララはふと気になって問いかける。
「元々シャル整備曹長はそういう機械いじりが好きだったという話だ。それで婚約破棄されたのを機に軍に来たらしい」
「婚約破棄!?」
その言葉に思わずクララは前のめりになる。だがクララのことを他国から来た女性、という認識しかないエーレントは目を丸くする。
「そ、そんなに驚くことか? いや、驚くことだが……」
エーレントはゴホンと咳払いをしてから「シャル整備曹長が男のように機械いじりする姿を見て婚約破棄を申し出た男がいたんだ」と話し始める。
クララは素で「え? そんなことで?」と返してしまう。
「まぁ、その男にとっては自分より優れた部分があるのが嫌だったんだろう」
「……」
そういう人は男女ともにいる。私がレーゲン国の王妃候補だった時に命を狙った輩もそういう人達だったわけだし。
クララは視線を少し上に上げて考える。
シャル整備曹長……。あんなに明るくてハツラツとした女性だったけど。やっぱり婚約破棄された時は辛かったんだろうな。今度会ったときはもうちょっとだけ積極的に話してみよう。
クララは一人心の中で頷いた。その時、「隣いいか」と声がかかった。声をかけてきた人物は疲れた表情をしているクンペルだ。
クンペルは返事を待つことなく、エーレントの隣に座った。そして大きくため息を吐く。
「「お疲れ様です」」
クンペルのあまりにも疲れ切った様子に二人は小声で労いの言葉をかける。クンペルは昼食を持って来ることなく、さらにため息を吐く。
「シャル整備曹長、ですか」とエーレントが尋ねる。
「ああ。あの後納得したかと思ったがなんだかんだで呼び止められてな。なかなか休憩に入れなかった」
そう言ってクンペルはクララを見ると「とにかく早くアードラーに乗ってシャル整備曹長を安心させてやってくれ」と話す。
「は、はい……」
クララが困惑しているとクンペルは「アードラーに乗ってクララが怪我をしたら困る、と泣きつかれてな」と言葉を続ける。
「ああ見えて結構責任感強い人なんだ」
クンペルはそれだけ言うと「さて」と席を立った。
「じゃ。俺もカレーをとってくる。そういうことだから早く食べろよ」
その言葉にクララは時計を見ると休憩時間がほとんど残っていないことに気付く。
クララとエーレントはどちらからともなく顔を見合わせた。そして二人してカレーをかき込んだ。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
シャル・アイン。好きなんですよねー。また登場予定なのでクララと仲良くなっていってほしい…。




