襲撃 6
「アルム国!?」
アルム国というとかなりの大国のはず……。
クララは頭の中に世界地図を広げる。
アルム国はフルーク国の南側の海を渡った先にある国だ。かなりの大国で南の国のほとんどはアルム国の領土である。
だからこそよく分からなかった。わざわざ海を越えてまでフルーク国に攻め入る必要があるのかどうか。
「アルム国って大国ですよね。わざわざ戦争する必要性が」
「いや、実はそうでもない」
クララの問いかけにシュティルはぴしゃりと答える。
「確かに大国だが経済はほぼ破綻している」
「それは……」
「どうしてですか」と聞く前に「シュティル大佐」と会話に入り込んでくるものがいる。曹長のクンペルだ。
「シュティル大佐。この度は助力いただいてありがとうございました」
「いや、あの場合は自機が多い方が判断したまでだ」
「それでも助かりました。それより王はご無事で」
っ! そうだ。王様はっ!?
クララは思わず頭を抱えた。
普通はこの国の王の安否を一番に気にするところなのに。私ったら、自分のことばかりで。
ふと隣を見るとエーレントもおでこに手を当てて苦悶している。エーレントもクララと同じく、曹長のクンペルに言われるまで王の存在が頭から消えていた。
シュティルは「ああ。ひとまず安全な所へお連れしてから来たからな」とおでこを人差し指でトントンと叩く。
「だが俺もそろそろ戻らないといけないな」
そう言って「クンペル曹長」とおでこから人差し指を離す。
「俺は戻るが、後のことは頼むぞ」
「はっ」
「あ、それから」
シュティルが急にクララに視線を向けた。
「クララにはしっかり講義を受けさせてやってくれ。実技は少しでいい」
「はっ」と真面目に返すクンペルの隣で「え?」とついついクララは声を出してしまう。
「どうした、不満か」
シュティルは肩眉をクイッと上げる。
「……いえ、不満というより。今のこの状況で実技が少しというのは」
今は戦争中だし。普通ならば実技を優先させるところだ、というか。そうでないと困る。エーレント伍長に認められたとはいえ、未だに他国から来た私に反発を持つ人は多いのに。
そこまで考えているとシュティルから「クララの心配も分かる。だがクララは剣術を習っていたんだろう? ある程度なら体力はあると思ってな」と言われてしまう。
「確かに体力はある程度ありますが。それは普通の方に比べるとでありまして」
「普通の人よりあるなら十分だ。通常の軍人は知識も体力もゼロのところから始まるからな。クララの場合は出生のこともあって。どちらも少し足りているくらいだ」
「出生?」
シュティルの言葉にエーレントはクララの横顔をジッと見た。クララは曖昧に笑って「それはまた今度、機会があれば」と小声で話す。それからクララはシュティルに顔を向けた。
「それでは大佐のお言葉に甘えさせていただきます」
さすがにそこまで言われると反論できない。クララは素直に頷くことにした。シュティルは満足そうに笑うと今度こそその場を離れていった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
次回からまたちょっとした平和が訪れます。ほんっとーに一時的な平和ですが。そしてそろそろあのキャラを登場させたいなぁ。




