表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰かの生命に溶ける花  作者: ありよりのアリス
4/4

一章 鋭利と痛みを貪る蜥蜴編3

投稿頻度増やします

全部の授業を終え、俺は帰ろうと教室を出て帰路に向かった。


「鮎川さん、ちょっといいですか?」

と下駄箱で靴に変える途中に俺に声をかけてきたのは三嶋かなうである。


「はい、なんでしょうか?」


「いえ、今日のお昼のことでお聞きしたいことがありまして」


「えーと、はい、いいですよ」

俺は大して隠すこともないが、美人に聞かれるとなんでも話してしまいそうになる。


これが顔面補正ってやつか、俺もそれなりに顔は悪くないと自負しているが環奈や三嶋かなうといった美少女、美人と一緒に並べるほどだとは思っていない。


「鮎川さんは、前橋さんとタイプ的に違いそうなのに仲良くされてますよね?恋人なんですか?」


「へ?…えーと」


自分への質問はなんだろうとある程度の当たりをつけていたのだが予想と違い驚く。


「えーと、環奈と俺がですか?」


「はい、急に変なこと聞いてしまってすいません」


「いや、全然大丈夫ですけど、質問がまさかすぎたので、俺と環奈は恋人じゃないですよ」


「そうなのですか?」


「はい、そうですよ」


そうですかと三嶋かなうは安堵したようにして息を吐いた。


「鮎川さん!」


「は、はい!」


「私とも仲良くしましょう」


「え、いいですけど、どーしたんですか?」


「えーと、おかしいでしょうか?」


いや、おかしいおかしくないで言えばおかしい、今日まで大して接点のなかった風紀委員長が急にすごく距離を縮めてくるのは何か裏があるのではと俺は勘繰ってしまう。

聖戦前の俺なら調子に乗って自慢しまくっていたところだが、今となっては罠かもしれないと疑ってしまう。

ただ、俺はそんな俺が嫌いだ。


「すいません、嫌ですよね…」

悲しそうに俯く彼女をみて俺は自分がとても険しい顔をしていることに気づく


「あ、いや、すいません!風紀委員長でしかも美人で有名な三嶋さんが俺と友達になりたいなんてなんかあるのでは?と高い壺かわされたりとか高い水を買わされたりだとか」

捲し立てるように弁明する俺をみて彼女はくすくすと笑っている


「美人局だと?そんなことないですよ」

と微笑んでいる彼女に俺は目を奪われるほどに綺麗な人だと思った、しかしどこか儚げであるきっかけでそれは奪われてしまうのではとも感じる。


「じゃあ!友達になりましょう!今すぐにでも!」

戯けたように俺は元気に彼女に言うと彼女は


「はい」


ととても笑顔で俺に言ってきた。罠であったとしても俺は後悔しない生き方をしていたいと思った。



ーーーーーーー



帰り道を一緒に帰ることになり、三嶋かなうと俺はだいぶ打ち解けてきた。


「鮎川さんは、成績優秀ですよね。サボるような人なのに」


「まぁ頭の出来が違うので」

少しの皮肉を混ぜながら俺たちは会話を楽しむ


「前橋さんも驚きです。あれで学年1位ですから」


「ですよね、学校七不思議の一つですよー」


「ひどい言い方ですね」

とくすくす笑う彼女は俺が最初に抱いていた印象と違いとても少女らしい人なのだと思った。


「そうですね。そんなこと言ったら三嶋さんも意外ですよ。もっとお堅い美人さんなのだと思ってましたし」


「まぁ、皆さんは私のことを避けますから」


「今の印象はとても可愛いらしい女の子って感じです」


彼女はとても恥ずかしそうに俺の方みて言ってきた


「そういう言葉に騙されませんよ」


「えー顔赤いじゃないですか」


「うるさいです」


と目を逸らし怒ったように頬を膨らませる彼女をみて俺はとても微笑ましいとおもった。


「すいません」

と俺が謝ると彼女はこちらに振り向いてくれたが顔はまだ赤い


「鮎川さん」


「なんでしょう」


「私も祭くんと呼んでいいでしょうか?」


「はい、いいですよ!これは俺からの提案なんですが敬語もやめにしましょう俺たち同級生なので」


「はい!いいですね!賛成です!」

と目を輝かせこちらを見つめる彼女に俺はとてもドキっとしてしまう。


(近い、近い!)


「私のこともかなうって呼んでください!」


「わかりました」


「敬語になってますよ?」

と注意する彼女は普段とは違う雰囲気なのにとても様になっている。


「わかったよ、かなう」


「はい、よろしい」


「かなうも敬語だぞ!」

と俺はかなうのマネをして注意してみる。


「何してんの祭ちん。きもいよ」


「あら、前橋さん」


突然うしろから声をかけられ俺はポーズをしながら固まってしまった。


「三島かなう、祭ちんに何かよう?」


「いえいえ、前橋さん、わたしは友達と帰っていただけですが?」


「えー、祭ちんと三嶋かなうが友達ぃ?」


「はい、そうです」


環奈は訝しむように三嶋かなうにガンを飛ばしている。対してかなうはにっこりと笑っているものの高圧的な態度で環奈と相対している。


「祭ちん、いつまでそんな格好してるの?三嶋かなうと友達って、本当なの?」


「祭くん、私たち友達ですよね?」


2人に圧をかけられ俺はポーズを辞め言った


「そうだよ、さっき友達になったんだ」


「えー三嶋かなうとぉー?友達なんだよね友達」

と友達のところを強めて環奈は聞いてくる


「ええ、友達ですよ?今のところは」

とかなうが環奈を挑発する


「三嶋かなうに聞いてない!」


「あらあらまぁまぁ!前橋さんたら祭くんのことが好きなのですか?」


え?そうなの?マジ?環奈が付き合ってっていうなら付き合ってあげなくもないんだからねと俺が心でキモイことを考えていると


「そ、そんなことないし、祭ちんのこ、ことな、なんてこれっぽっちも!ぅーぁもうっバカァバーカ」

と捲し立てるように言った環奈は走っていってしまった


「あらあら、行ってしまいました。可愛いですね」


「いや、かなうは意外と腹黒なんだな」


「女の子に向かってそれはないと思います。あと敬語は癖なので直すのに時間かかるのでしばらくはこのままでいさせてくださいね」


「おーけーすまなかったよ。了解だ。」


「では、私はここで」


「あーまたな」

と俺はかなうが電車方向へと向かうのを見送る。すると彼女は振り返り言ってきた。


「さっきの私のマネ気持ち悪いので辞めたほうがいいと思いますよ?」

ととても素敵な笑顔付きでおれに言ってきた。


腹黒って言ったこと根に持ってんじゃねーか。












読んでもらってありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ