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異世界×プロジェクトマネジメント  作者: 爽一郎
5章 テストして改善すべし
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第84話 文書で認識合わせをしておくべし

王宮にて、グレンダール、リーガルと緊急会議となった。

今回、プロジェクトメンバーとしてはヒロ、ランペルツォンの他にレインが同席している。

レインが希望したのだ。

ヒロとしても経験を積ませる、という気持ちで同席してもらうことにした。


ヒロは事情をグレンダールに説明した。

グレンダールはうなずきながら聞いてくれた。


「ヒロ殿の言うことは分かる。

 国の危機だ、リーガルよ、予算を回すことはできないか?」


「しかし、グレンダール総指揮官。

 これはギルド側の調査不足でしょう。

 初めに知能のあるゾームがいると分かっていれば、やりようはあったと思いますが…。

 急に経費を増やすことは難しいですよ」


メガネをクイッと上げながら、リーガルは答えた。

ヒロは聞きながら思う。

確かに、これは要件定義漏れといえばそうかもしれない。

こんなリスク、事前に察知できなかった。


これは元の世界でもある事だった。

システムを更改するという仕事において、既存システムの事前調査時には分からなかった仕様が後で分かり、追加要件となることはある。

事前調査が甘かったのはそっちの責任だから、追加要件の費用は払わないよ、そんなふうに顧客に言われることはあった。


ただ、追加要件をスケジュールやコストの変更なしに受け取れば、人も増やせない、期間も同じで更に多くのことをしなければならず、プロジェクトメンバーの負担が増える。

徹夜続きで働き続けるような案件を、昼夜問わずゾンビのように働き続けることになぞらえてデスマーチと、元の世界では呼んでいた。


ヒロは、このプロジェクトをデスマーチにはすまいと心に決めていた。

デスマーチにすれば、疲労がかさんで品質が下がる。

ゾーム討伐の品質低下は、人間の死につながる。

それは避けなければならない。


ヒロはリーガルに言葉を返した。


「事前調査も我々はできる限りしました。

 ですが、ゾームは未知の敵だったんです。

 不確定要素がある点は、事前にお伝えしていたつもりです」


実際、ヒロはゾームというモンスターについてわからない事が多すぎるがゆえ、追加要件の発生は危惧していた。

そして、グレンダールやリーガルにも、その可能性は伝えていたのだ。

ただ、人間は「悪くなるかもよ」と言われても、あまり気にしない。

「どうせ大丈夫でしょ?」と思って、その悪い事はきっと起きないだろうと思い込んでしまう。


本来こう言った、いざこざを無くすために、議事録や、もっと厳密にする場合は契約書という形で双方認識合わせをするのだが、この世界には契約書に関する法律があるわけでもなく、ヒロの事前警告は曖昧な認識合わせにとどまってしまっていた。


これは、痛恨のミスだとヒロは思っている。


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