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異世界×プロジェクトマネジメント  作者: 爽一郎
5章 テストして改善すべし
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第79話 一人で戦うべからず

ヒロは再びゾームの前に放り出された。


状況は、ヒロがファシュファルのいる空間に飛ばされる直前と同じだ。

ヒロとファシュファルが話していた時間は、経過していないようだ。


ヒロはすぐさまゾームから逃げつつ、エルザスの方向に向けて魔法を使った。


エルザスとメグの間に炎の壁が現れる。

エルザスが吐いた糸が炎に包まれ、糸は燃え切れた。

だが、メグは残った糸でぐるぐる巻きなので、身動きが取れない。

ヒロは続けてメグを遠ざけるため、物体を移動する魔法をメグに唱えた。

炎の壁がエルザスとメグの間にあるおかげでエルザスによるメグへの追撃は防ぐことができた。


「よし、メグさんはこれで、しばらくは大丈夫だ」


続けて、自分を襲うゾームとジュドーが戦うゾームに意識を向け、またもや魔法を使う。

特に強力な魔法を使っていないため、まだ魔力が残っている。

ヒロが手をゾームへかざすと、ゾームの切る鎧がくすんだ色に変色していった。

金属を腐食させる魔法。

鎧の耐久値を下げたのだ。


「ジュドーさん、そのゾームの鎧を脆くしました!

 兵器で倒せるはずです!

 討伐隊のところへ誘導して、討伐隊に倒してもらってください!

 そして、ジュドーさんはメグさんの救出を!」


「わかった!」


すぐさまジュドーは討伐隊のところへゾームを誘導し始めた。

ヒロも同じだ。

ヒロを追いかけるゾームの鎧もボロボロ。

これで、兵器で倒すことができる。



ヒロがファシュファルに言われた気が付いたこと。

それは、各人が戦いやすいように環境を整える、ということだ。


ファシュファルはヒロが望むから、会話をしたと言っていた。

人間によって、最適な接し方を変えるのだと。環境を変えるのだと。


プロジェクトマネジメントも、同じだ。

メンバーが力を発揮できるよう、プロジェクトマネージャーは環境を整えなければならない。

どれだけ優秀な人材が集まっても、劣悪な環境ではパフォーマンスは出ない。

必要な道具や場所、つまりは環境がなければ力は発揮できない。


元の世界でも、パソコンのスペックが足りなくて作業が捗らず納期に間に合わないと言われれば、新しいパソコン調達をヒロは指示していたし、打ち合わせ場所がないと言われれば無理やり机を置いて会議スペースを確保したりしていた。

もっと言えば、あの人が嫌いで仕事が手に付かないと言うならば、席を遠ざけたり遠隔で仕事ができるようにするなんてこともしていた。


ヒロは、そんなことは当たり前のようにプロジェクトマネジメントでは行っていたのだ。


だが、戦いという慣れない環境になったとたん、その原則を当てはめて考えられていなかった。


自分が大魔法が使えるがゆえに、自分がどうにかせねばならないという思考になっていたのだ。


そうではなく、みんなが戦える状態にする。

それが、マネージャーたるヒロの戦い方のはずだ。


プロジェクトマネジメントでは、この状況に陥ることが多い。

仕事ができる人ほど、自分で何もかもしようとしてしまう。


だが、どれだけ優秀でも一人でできることなど、限界がある。

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これが、プロジェクトマネジメントの極意なのだ。


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