第68話 スコープ管理すべし
こいつは、プロジェクトを膨らまそうとする人間だ。
ヒロはそう思った。
プロジェクトは周りから見れば、何かを成し遂げようとしている組織だ。
いろいろなことを実現してくれそうな組織に見える。
そんなプロジェクトに対して、あれもこれも、と要件を増やしてついでにやってもらおうとする人々がいる。
それが、プロジェクトを膨らませようとしてくる人間。
往々にして、プロジェクトの周りにはそんな人々がいる。
プロジェクトは目的があり、追加で入ってくるものがその目的に合致しているのであれば、受け入れることもある。
例えば、ゾームが他の地域でも発見され、それに対応するということであれば、王都をゾームから守るということに合致はしている。
その追加要望を受け入れることは検討すべきだ。
そして、要望が追加されれば、費用もスケジュールも変わって来る。
基本的には費用は増えるし、スケジュールは伸びる。
その管理は、プロジェクトの極意、スコープ管理である。
スコープとは範囲。プロジェクトが行う物事の範囲だ。
範囲を定義して起き、範囲が増えれば、コストやスケジュールを見直す。
そのコストを受け入れられるかどうか。
目的も考えず、コストの判断もなしにいきなり『これもやっといて』という人間は、プロジェクトマネージャーとしては毅然に対応せねばならない。
とは言え、ジューマンはヒロの上司。
ヒロは、個人的には徹底的に論理的に何がいけないのかジューマンに理解させたかった。
だが、感情で動いてはいけない。
ジューマンを言い負かしたところで、ヒロがすっきりするだけで、何も生まれない。
むしろ、ジューマンのプライドを気づ付けて敵対意識を持たれでもすれば、プロジェクトを妨害されるかもしれない。
上司とは、うまく付き合うべし。それがどんな上司でも。
これもヒロのモットーであった。
ヒロは仕事が増えるなぁ、なんて思いつつ、ジューマンに伝えた。
「キラーマンティス討伐は分けて、プロジェクト化したほうが良いと思います。
少し、私のほうで検討しますので…」
言い終わる前に、ジューマンが言葉をかぶせた。
「よし、じゃあ、よろしく頼むよ!」
おいおい、ゾーム討伐プロジェクトで引き受けたわけじゃないぞ!?
分かってんのかコイツ!?
ヒロは焦りつつ、次の言葉を探した。




