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第10話 予兆
王都シュテールの南。ヒロがこの世界で最初に足を踏みいれた森の、さらに南。シュテリア王国領内に小さな村がある。
夜も更けていたが、その日は満月で、月明かりに照らされていつもよりも明るい夜だった。
この村の南は湿地帯で、トカゲのようなモンスターはいるものの、湿地帯を越えてくることはほとんどなかった。
比較的モンスターからの襲撃の危険性が少ない、平和と言える村である。
とは言え、小さなモンスターが襲ってくることもあるため、村には自警団が存在する。
そこには、警護の能力を確実なものにするため、何名か、王都シュテールの王国兵団から派兵された人間も交じっている。
今夜も、その自警団の一人が、当番として夜の見張りをしていた。
モンスターが出ることはまれであるため、その村の男はのんきに湿地帯がある方を眺めていた。
とは言え、湿地帯方面に人はいないため、明かりはない。完全な暗闇である。
「満月で明るい夜っつっても、村の外は真っ暗だな。何にも見えねぇや…」
だが、男が目を凝らすと、暗闇に赤い光が見える。
それも、複数。
そして、うぞうぞと動きながらこちらへ向かってくるように見えた。
「な、なんだぁ?ありゃ」
赤い光はどんどん村へ近づき、村を飲み込んだ。
そうして、ひっそりと一つの村は、満月の一夜に壊滅した。




