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泉の思い

 切矢と謎の存在エニグマが姿を消した。俺は奴らに一矢報いることこそできても倒しきれなかった自分に嫌気が差した。


 こんな俺を泉は全力で庇ってくれたのに。


「何が竜の力だ! 何が俺様に秘められし竜爪だ!俺は泉を守れなかった! クソ! クソ!クソ!」


 大事な人を失ってから目覚めた力、俺は自分の無力さに腹が立ち、左拳を地面に何度も打ち付けた。


 何度も続けるうちに嫌気や怒りは涙に変わりポロポロと零れ落ちた。


「泉……泉……」


 涙はすぐには収まってはくれず、しばらく声を押し殺して泣いていた。


 ひとしきりその場で呆けた後、俺は泉に渡された2つの便箋の存在を思い出しジーンズの左のポケットから取り出した。


 取り乱していて気づかなかったが右手も元の人間の形に戻っており、傷も全く見当たらなかった。


 さすが竜の血統といったところか……傷の治りも人間の比じゃないようだ。


 2通の内、片方の便箋の表には泉の筆跡でこっちが先と記載されていた。


 俺は泉の指示通り先と書かれた便箋の封を開け目を通すことした。


 歩へ


 この便箋に目を通してるってことは、もう私はこの世にいないってことだよね……


 身勝手なお願いでごめんなさい。でもあなたは私の仲間と合流しなければなりません。


 ここに場所を記載しときます。


 石原市笹山〇〇ー✕✕


 ここに着いたら今から言うセリフを口に出して唱えてください。


 我らレジスタンス、解放とともに!


 さすれば道を開かれる。


 P.S 私の仲間たちをどうかよろしくお願いいたします。では、2枚目をどうぞ!


 その便箋に目を通したあと2枚目も読み始めた。


 歩へ


 1通目の手紙にも記載した通り、これを読んでいるということは私はもうこの世にはいないってことになるんだよね。


 私は歩に自分の気持ちをちゃんと伝えられたのかな? 他にも気になることはあるけれど一番伝えたいことをここに書いておくね。


 はじめに、私は大きな過ちを侵してしまいました。歩のことを避けてしまったことです。


 まず、私は歩が思ってくれている程強くないんだ。中学の終わり頃からこの趣味が理由で女の子たちの間ではいじめられていて、日々エスカレートしていったの。


 気にしなければいいとは頭では分かっていた。分かっていたけど私は耐えられなくなっちゃって。いつからか周りを気にせず、好きなことを堂々と続けていられる歩が羨ましくもあり、そうはなれない自分に嫌気が差し、あんな言葉がでちゃった。終いには自分自身の趣味まで否定しちゃって。


 馬鹿だよね~私。ほんと馬鹿。なんでこうなっちゃったんだろ……


 私ね? ずっと前から歩が好き。そんな真っ直ぐな歩が好き。他にもいっーぱい好きなところがあるんだけど、こんな手紙じゃ書ききれないの。


 最後にお願いがあります。


 私のことをどうか忘れないで。嫌いでもいい、憎たらしくてもいい、でも歩の記憶に生き続けたいの。


 こんな私の我儘を聞いてくれるかな……?


 P.S 歩が世界で1番大好きです。できればお嫁さんになりたかったな……


 俺は泉の遺体を抱きしめ再び涙を流し始めた。


「気づけなくてごめん……泉……泉……」


 手紙を読み終え再び涙が溢れそうになったが、パトカーのサイレン音がこちらに近づいてくるのが聞こえた。


 この状況を見られたらどう考えても俺は誤解をされてしまう。


 俺は慌てて泉の遺体を抱え手紙に指定されたは場所に向かうことにした。

皆さん長らくお読み頂きありがとうございます!


次からは物語が大きく動きここからが本編という内容です。


乞うご期待ください。


P.S ブックマーク、感想等お待ちしております。よろしくお願いいたします!

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