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「 今入っていたイーストエンドはウチが経営している酒場だ。1階は酒場で2階からはギルドの拠点になってる。覚えとけよ」
酒場から出てすぐにオレはふぇんりるさんから説明を受けていた。
怖くてぶっきらぼうな人だけど説明は丁寧で案外良い人なのかも?
「 このマイヤーズシティはキャラ作成時にガンナー職を選ぶと転送される初期村だ。地域ボーナスがガンナー職だけで他職はあまり居ないが鎧を着た連中は注意しておけ。あとは酒の生産が盛んでウチでも結構作っている」
ぶらぶらと歩きながら説明を聞いていて気づいたことがある・・・
「 あのー・・・ふぇんりるさん」
「 フェンでいい」
「 あっ・・・えーっと、フェンさん」
「 なんだ?」
「 なんかオレ達、周りの人から避けられてない?」
そうなのだ。
先程から結構な人ごみの中を歩いているんだけど、その人たちがサーっと避けているんだ。
「 あーー・・・忘れてた」
フェンさんは立ち止まると黒いコートと黒いハットを外す。
ハットと取ると綺麗な蒼みがかった銀髪が覗き、その銀髪を丁寧に後ろに流している。
三白眼で怖そうなイメージだったけど、こうしてみるとクールなお兄さんって感じがする。
「 はぁ〜〜、綺麗な髪・・・」
つい口を滑らせちゃった。
なんかむせてるけど大丈夫かな?
「 ゴホッゴホッ、よし、説明に戻ろう」
「 あのー・・・黒のコートとハットはトレードマークって聞いてたんだけど、いいの?」
「 黒の一式は俺たちが仕事中っていう意味だ。あれを装備してる時に話しかけてくる連中はあまりいない」
「 へぇ〜そうなんだ」
なんかカッコいいな。
オレも早く欲しい。
しばらく歩くと大きな広場に出た。
中央には噴水があり、それを囲むように沢山の露店が出ている。
「 ここがマイヤーズシティ4つの区の中央に位置するセントラルパークだ。露店も多くて人も多いがPvPも結構行われている。夜は一人で来ない方がいいぞ」
「 PvPかぁ〜、強くなったらやってみたいなぁ」
「 ウチのギルドにはPvP好きが大勢いるし、慣れてきたら声掛けてみな。ギルド内ならデスペナ無しの練習試合が可能だ」
「 おぉ〜!フェンさんとも出来る!?」
「 俺はー・・・辞めとけ。手加減が苦手なんだ」
「 そっか・・・」
「 グスタフはああ見えて新人教育が上手いぞ。今度頼んどいてやる」
「 !!・・・ありがとう!!」
やっぱり人は見かけによらないね。
フェンさんはすごく良い人だ。