3
CoUを始めるにあたってキャラクター作成をまず最初に行うのだが、VRゲーム専用のカプセル内にいる自分の身体をスキャンしアバターの元を作成する。
そこから種族や身長、体型、顔など細部に至るまで設定することが出来る。
しかしながら、ここで問題がひとつ。
人間種族に限っては、リサイズに限度があるということだ。
従って、人間種族に関して子供体型のアバターを作るには現実で子供でなければ難しいと言える。
これは一定の暴力表現が存在するゲームである為、子供が暴力的行為を行うといった描写を出来る限り減らすといった名目だ。
という訳なんだが・・・
この少年?はどう見ても10歳くらい、そしてどう見ても人間種族。
髪は深めの赤色で肩口程の長さがあるが、“見習いのゴーグル”で無理矢理かき上げていてボサボサの状態。
まだあどけなさの残る顔つきに加え、くりくりとした瞳が子供っぽさを演出していた。
装備は初期配布の“薄麻のジャケット”に“薄麻のズボン”、ズボンがデカイせいかサスペンダーで吊り上げているが、だぼだぼのシャツがめくれ上がっている為、貧相な印象に拍車をかけている。
「 えーーっと、グスタフくん・・ちょっと」
「 はい、兄貴」
コホンと咳払いをした後にグスタフを呼んで耳打ちする。
「 どう見ても子供なんだけど大丈夫なんか?」
「 ええ、ギルドの説明も既にしてあります。審査も合格です」
「 マジか・・・ボスはなんて言ってた?」
「 面白そうだし許すとのことです」
「 はぁーーー・・・俺が連れ回してたらとうとう人身売買に手を出したって言われそうだな・・」
「 兄貴、大丈夫です。俺と一緒に歩いただけで既に噂になってます」
「 ・・・あぁそうですか」
いらん悪名がまた増えそうだなこりゃ。
まぁでもそれを差し引いても面白そうという意見には賛成だ。
審査も通ったってことは仮ではあるが既に仲間ということだし手厚く歓迎してやろう。
「 ペペルと言ったな?俺は【@ccel Family】の幹部を務めているふぇんりる:@だ。すぐに歓迎してやりたいところだが、この街には色々とルールがある。説明がてら案内してやる。ついてこい」
有無を言わさぬ物言いで俺は入り口へと向かった。
「 はいっ!ふぇんりるさん!」
一拍遅れて発せられた返事の声色は、
やはり子供のものだった。
大丈夫かなぁ・・・