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05 今度は神様?

【今度は神様?】



 何とか気持ちを持ち直して

「クラストフさんは魔族なんですか?」

 美夜はそう基本的な質問をする。まだわからないことだらけだが、魔法が使えるということはそうなのだろう。

 そんな美夜にアーディはもちろんと頷いて

「アーディと呼び捨ててください。ミヤ様」

 そう微笑んだ。

 どうもアーディにはちいさな「ツ」が上手く発音できないようで、「吉川(きっかわ)」と言うのが大変そうだったので下の名前で呼んでもらってる。

 お返しのように呼び方をねだられて、美夜はううっと唸って負けたように頷いた。

 また「魔王陛下」などと呼ばれてはかなわない。

「私はもちろん魔族ですし、ミヤ様も魔族ですよ」

「―――私は魔法なんて使えない平凡な人間ですが」

 平凡も平凡。今まで生きてきて、特に人に誇れるものもない人生だ。

「ミヤ様がおられた世界は黒髪黒目は珍しくもないとのことですが、こちらでは違います」

 そうしてアーディが語ったこちらの世界の話に、美夜は頭を抱えた。



 こちらの世界は人間の世界と魔族の世界が表裏一体、隣り合わせのように成り立っている。基本そこを人や魔族が行き来することは難しく、両世界を縦横無尽に吹きすさぶ嵐に巻き込まれて移動するか、召還で移動するかしかない。

 しかし召還といっても、呼ばれなければ行くことはできない。つまり、召還魔法で呼び出さなければ世界を渡ることはできず、自らの意志のみで魔法陣を描いても世界の扉は開かないのだ。向こう側から呼ばれない限り。


「じゃあ、アーディさんはどうやってこっちにやってきたんですか?」

 美夜が覚えてる限りアーディは急に現れて美夜を助けてくれた。

 美夜の疑問に、アーディはにっこりと笑った。

「呼んでくれたじゃないですか。貴女が」

「私?」

 そんな覚えのない美夜がぱちくりと目を瞬かせると、アーディはほら、と続ける。

「――だれでもいい。そう助けを呼ぶ貴女の声が聞こえたんですよ」

 それはとても小さな穴だった。でもずっと魔王の騎士として魔王を探していたアーディの目はしっかりとそれをとらえた。

 それからはその小さな穴を、召還術の得意な同僚魔族に無理矢理こじ開けてもらい助けにいくことができた。

「貴女が喚んでくれて本当によかった」

「わっ、私こそ本当に危ないところを助けていただいて」

 美夜は慌てて、ぺこっと体を直角に曲げる。

 すると目の前の美形がくすっと笑ったので、美夜はかあっと顔を赤くする。

「わっ、笑わないでください」

 ちょっとむくっとむくれてみせると、アーディは「すみません、すみません」といいながらもやっぱりくすくす笑っている。

「今回の魔王様はずいぶんと可愛らしい方だと思いまして」

 可愛らしい、はこの際無視して、美夜はずっと抱えてる疑問をぶつける。

「魔王っていいますけど、本当に私は魔王なんですか? 私はこちらの世界の住人でさえないですよ」

 両親だって普通の人間だ。

 そう言えばアーディはああ、と頷いた。

「ミヤ様はこちらの世界のことをご存じないからですね。魔王は神により選ばれるのですよ」

「神? 神って神様?」

 あまり信心深くなかった美夜は首を傾げる。

「こちらの世界。魔界と人間界には両世界を統べる神がおられるんです」

 それは真剣な表情のアーディに、美夜は内心頭を抱えた。


 魔族の次は神様? もうどうなってるの?



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