01 ようこそ異世界へ
異世界召喚ファンタジーです。
女の子がヒロインの王道ストーリー。
初めての投稿になりますので、あたたかく見守って頂ければ嬉しいです。
ハッピーエンド厨なので、この作品もハッピーエンドで終わらせますのでよろしくお願いします。
【ようこそ異世界へ】
異世界に召還されるなんて言って誰が信じてくれるだろう。そう、本人以外に。
美夜はどこにでもいる商社のOLだ。通勤時間もかかるので、毎日帰宅は夜の10時を過ぎる。
その日も1日の疲れを隠しもせずにぐったりと、自宅のアパートに帰り着いた。
ああ、これからシャワー浴びて化粧落としてご飯作って……。どれもこれもだるい……。
はあ、と大きくため息を吐いて、それでも自分を叱咤して美夜はシャワーを浴びる。戦闘着のようなスーツと化粧を落とすとめんどくさかったとはいえ、ホッとする。
部屋着であるフリースの上下に着替えて、もう具沢山の味噌汁だけでいいかとキッチンに立った美夜は鍋に水を入れようと蛇口をひねった。
そのとき蛇口から水と共にキラキラと光る粒子が見えた……気がした。
「え?」
美夜がぱちくりと目を瞬かせると水からでた光の粒子が、よくファンタジー映画などで観る魔法陣の形をとる。
――――と。
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
美夜は眩しい光に包まれ意識がブラックアウトした。
美夜が意識を失っていたのは一瞬なのか。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」
という大勢の叫び声で、ハッと意識を取り戻した。
頬をつけていたのは冷たい大理石の床。そこに何で描かれているのだろうか、光る線で先ほど見た魔法陣がありその中央に美夜は倒れていた。
がばっと上半身を起こすと部屋を渦巻く声はさらに大きくなった。
「え? え?」
美夜がそこに見たのはそれこそファンタジー映画にでてくる魔法使いの装束に身を包んだ多くの人。その誰もが喜びに身を震わせている。
「聖女召還の儀式の成功だ――――」
え? は? 聖女と言っただろうか?
美夜が頭の上にハテナマークを飛ばしている間も、そこら中で、聖女様、聖女様、と喜びあっている。
異世界に召還されたら聖女様でした?
何かのタイトルのような文書を頭に思い浮かべていた美夜は
「待て――――――――!」
という部屋中に響きわたる大声に、視線を向ける。
そこには綺麗な金髪碧眼の、まさに物語の王子様然とした男の人が立っていた。
すると、周囲にいた魔法使い達が道をあけ、王子王子と声を出し膝をつく。
本当に王子様かい――。
そんな素直な感想を暢気に抱いていた美夜の元に、その王子はカツカツと足音を響かせながらやってくる。
その視線のきついこと――。
な、なに。この人怖い。
厳しい表情の男性に睨まれながら近づかれて、美夜は心持ち後ろに下がる。
そんな美夜の怯える態度など気にもせず、王子は美夜の前にかがみ込むと、ぐいっと美夜の顎をつかんだ。
「いたっ」
その力強さに文句のように声をあげたのに、王子は意にも介さず美夜をのぞき込む。
そして重々しく宣言した。
「どこが聖女か!! 黒目黒髪、魔女――魔族ではないか!!」
王子のその言葉に、先ほどとは違う声色のざわめきが部屋に満ちる。
「本当だ。黒目黒髪、なんてまがまがしい」
「魔女だ」
「魔族だ」
「この国を滅ぼしにきたんだ」
そんな呪詛が美夜を包む。
は? 魔女? 聖女の次は魔女?
ちょっとどころか状況についていけない美夜はあんぐりとする。その間にも話は進む。
「魔力封じの枷を。処分が決まるまで地下牢で厳重に閉じこめておけ。決して逃がすな」
「はっ」
王子の声に部屋中の魔法使いが頭を垂れ、同意を示したと同時に美夜は両脇から両腕を掴まれて引き立たせられた。
「な、なにするのよっ」
美夜の抗議などそよ風ほどの威力もなく、気がつけばガチャンと後ろ手に枷をつけられていた。
「きゃぁ――――っ、なにすんの、離してよ!」
手首につけられた枷から、なにやら気分の悪くなるような気を感じて美夜はいやいやと身体を捩るが、両側から押さえられてしまった。
そしてそのまま引きずられるように美夜は地下へと連れていかれた。
勝手に呼び出しておいてこの扱いは酷くない?
初投稿で短くてすみません。
次を直ぐにアップします。