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旅人は歩く  作者: 紲空現
9/12

1-5-4 己の命を預けるもの

絶対歴1131年5月24日(火)


次の町に到着した。今度はラナをギルドに紹介して、なんの気兼ねもなく町を見てまわりたい。

あとはラナの装備も購入しないと。流石に元のワンピースだけでは戦いの時も心もとなかったし、そもそも武器がない。移動の時はフードを取り敢えず買ったが、無理があった。





□□□□□





「遂に町が見えて来た。やっとついたか」

「ん。森の中は楽しかったけど、町も楽しみ」

「そうか。さて、前は町の入口で面倒事があったが、今度はどうだろうか」


そして町の入口に近づいていく。案の定門番が居た。人通りが多い訳では無いので、行列は出来ておらず直ぐに門番の元にたどり着いた。


「君たち、どういうものだい?」

「はい、こういうものですけど」


そういってギルドカードを見せる。


「・・・了解した。通ってよし!」


すんなりと通してくれた。どうやらこの辺ではギルドの判定は高い評価を得ているらしい。因みに、ラナにも今はペンダントに隠れてもらっていた。

…本人はあまり隠れたくないらしい。そこにいると感情はあるが全く動けないという変な感じになるらしい。


そして取り敢えずギルドに向かう。こちらのギルドにも受付嬢さんはいた。というか、メイン受付には女性しかなれないらしい。代わりに受け取りカウンターは殆ど男性が受け付けていた。やはり揉め事を避けるにはそれが最適だと判断したのだろう。


「すみません。この子の冒険者登録と、私たちのパーティー登録がしたいのですが」

「了解しました。冒険者登録ですね?ではまず規約書に承認していただいて、次に個人の情報についてお教え下さい。代読、代筆は必要ですか?」

「ううん、大丈夫」

「分かりました。ではどうぞ」

「ん、お願い」

「おう…分かった。ええとここは……」


どうやらずっと花畑にいたため、人間の文化とかは良く知らないらしい。文字もまた教えていかないといけない分野のようだ。俺の場合は親がきっちり仕込んでくれたので助かっている。

武器はひとまず杖ということにした。今のところのものなので特に問題は無い。

さて、次はパーティ登録だ。


「パーティですか?了解しました。二人ですね?」

「そうですね。お願いします」


こういうことで一々理由を聞いてこないところには好感が持てる。まあ、元の町だと確実に質問されるので、移動して正解である。説明に困るものは説明しなくて良いようにするべきだ。





□□□□□





ところ変わって商店街…というか、ただ装備品の店が少し離れて数件あるだけである。町の規模が小さいからか、他の理由があるのか…それはこちらが気にすることではない。

ここに来たのは、主にラナの装備を整えないといけないからである。道中もヒヤヒヤだったし、流石に素手で魔法を使うのは見た目的によろしくないからだ。人間だと普通は魔力導体である杖か、変わり種でオーブを使うぐらいだ。精霊はそもそも実体がしっかりしていないので魔法を使う時は素手というか、念じるものらしい。こちらにもその技術というか概念を取り込めば無詠唱魔法も夢ではないと思う。

とりあえずは妙にギイギイ音のなる店のドアを開けて店内に足を踏み込んだ。


「いらっしゃい」


深くドスの聞いた声で店のドワーフの店主と思しき人物が声をかけてくる。

正直に言うと、怖い。ラナはサッと俺の後ろに隠れてしまった。しかしそこはグッと堪えて商品を見るべく一歩踏み出す。


「珍しい方の客か。俺の声で帰るヤツが大半だからな」

「直接恐怖をそれと意識せずにかけてくる人の方が安心できるので」

「そうかい。まあ、ゆっくり見てけ。武具防具は己の命を預けるもんだ。そいつらを俺たちは命を託せるか見定めなきゃならねえ。半端な装備は、逆に自らを死なせる。いうまでもねえが、一度決めたら、違う武器に変えることもあるかもしれねえ。もっといいものに変えるかも知れねえ。永遠の別れになることもある。だが、そいつらに愛情を注がねえやつはあほうだ。信じたなら、そいつらを愛してやれ。信じたなら、その時が来るまで信じ続けてやれ。そんだけだ」


雑談のつもりなのだろうが、話は長かった。しかし、言っていることはまさに真理を突いていると思った。装備は、命を預けるもの。相手を信じ続けなければ、直ぐに裏切られる。


「ふむふむ…どうも。では、じっくりと見るわ」

「どうも……杖、ある?」


後半はやっと横に出てきたラナである。話をしているあいだに落ち着いてきたようだ。


「あーーー、金属製なら無いことも無いが、ミスリルだし高いぞ?木製なら向かいの魔道具店だな。防具はこちらも金属製ばかりだから革なら横の店が得意だな」

「ありがと。あとでいく」

「おう。まあ、そこの坊主と一緒に眺めとけや。将来全く使わなくても、近くでじっと見る機会はあんまねえからな」

「ん」


装備は色々とあった。直剣、斧、ハンマー、槍や、盾にしても小さいのから背丈以上に大きい誰が使えるのかわからない代物まであった。店内の角地目をやると、2級品と題した武器群が武器別に籠に入っている。


「これぐらいしか買える金が無かったな…」

「おおう。まあ、そこにもそこそこ使えるやつはある。落ち着いて見極めてみろ」


取り敢えず使っていた直剣を、近いところから引っ張り出して眺めてみる。

ある剣は少し曲がっていたり、また他の剣は厚さが不均等だったり、表面に細かなヒビが入ったものもあった。マトモに命を預けられそうに無い。だが、その中の底のほうに1本気になった剣があった。


その剣は少し曲がってはいたが、おおむね真っ直ぐ延びていた。また、見た目だけではない何かがあるように感じ取れた。


「この剣はどうですかね?」

「ああ、いいよ。そんならこのぐらいか。にしても、何でこの剣を選んだんだ?」

「何だかこれがしっくりきたというか、何かある感じがしたんだ」

「ふむふむ…うーむ。何にせよ、大事にしてやれよ。お前はそいつを信じた。なら、そいつを愛し、信じ続けろ」

「はい。大事にします」


店主は少し渋い顔をしていたようだったが、そう言って送り出してくれた。どうやら目利きはまだまだらしい。次もきっちり見極めようとしないと。





□□□□□





向かい側の魔道具店に入ると、中から初級回復ポーションを作るときの独特な甘酸っぱい匂いがしてきた。


「む?美味しそう」

「だが、初級でもある程度値は張るからな。2〜3本買って緊急用にしたいが、杖の値段によるな。借金返さないと命に直結するし」


ギルドの取り立ては怖い。クエストを受けないとギルドの圧力により町での買い物すら困難になるし、借金がブーストされるので運が悪いと一生ギルドの奴隷のような扱いになってしまう。それは親に何がなんでも避けろと再三再四忠告された。どうやら、ギルドから不人気な依頼をこなすよう命じられてその目的の土地に骨をうずめた人を知っているらしい。


取り敢えず中に入った。ポーションの匂いがよりきつくなって少し息苦しい。


「いらっしゃい」


カウンターの女性が話しかけてきた。


「どうも。杖を買いに来たんだが」

「それならこちらに」


そしてカウンターのあるポーションだらけの部屋を抜けて奥の部屋に案内される。こちらはポーション臭が幾分かましになっていて、微かに木の匂いがしないこともない。


「では、ここからお好きなのを。買うのはこちらの子供かしら?値段は奥の方が高いから。文字は読めるわよね?そうでないと難しい魔法は習得が非常に困難ですし」

「ん。読めない。でも頑張って覚える」

「あら。ならきっとあなたは読めるのね。何にせよ、持ってきたら値段は教えてあげるから」


そして杖を色々とみていく。宝石が付いたものは数がかなり少なく、他とは1桁も2桁も値段が違っていた。ついてないものは見た目のためか、先端がぐるりと巻いたものが多くある。


「杖には属性がついた宝石が使われているものもあるが、高いから魔力たっぷりの木を削った棒に近いものしかかえないからな」

「ん。その中から選んでくる」


十数分後。


「これにする」

「はい、ありがとうね」


ポーションを1本だけ買ったあと、最後に防具を買いに行った。


「本当にそれでいいか?」

「うん」


革の鎧も高いし、基本後衛なので布製のローブと帽子にした。金属製はここではそもそも売っていなかった。

しかしその色と形が、いかにも魔法使いですと言わんばかりの真っ黒なローブにこれまた黒いトンガリ帽子で焦茶色の自分の身長以上の杖。本人が金髪金眼に自分ほどではないが白い肌をしているので、色のコントラストが凄い。だが似合っている。


「よし。じゃあ買い物は終わりだ。今日から稼がないとギルドの借金が返せない。気がついたら引き込まれるから通称闇金だ。早く返すに越したことはない」

「ん。頑張る」


そしてそのままその日から少しずつ貯金をして返済することにした。





□□□□□





《ステータス》


〈基本情報〉

名前:ローレンツ

性別:男

種族:人間

職業:旅人


〈能力値〉

総合Lv.7

HP140/140

MP210/210

筋力Lv.6(1↑)

魔力Lv.5

スタミナLv.7(1↑)

素早さLv.6(1↑)

防御力Lv.6

精神力Lv.7

運Lv.6


〈スキル〉

[剣術]Lv.5[弓術]Lv.3

[基礎魔法]Lv.2[生活魔法]Lv.2

[重量上げ]Lv.1(New!)

[精霊の目]Lv.1


〈称号〉

〔さすらうもの〕〔サバイバル入門〕〔冒険者(E)〕〔死の淵を見た者〕〔精霊の契約者〕





〈基本情報〉

名前:ラナ

性別:女

種族:精霊

職業:旅人


〈能力値〉

総合Lv.7

HP70/70

MP1000/10700

筋力Lv.1

魔力Lv.724

スタミナLv.1

素早さLv.12

防御力Lv.1

精神力Lv.722

運Lv.1372


〈スキル〉

[精霊魔法]Lv.☆


〈称号〉

〔上級精霊の証〕〔眠り姫〕〔人見知りマスター〕〔精霊の契約者〕〔冒険者(F)〕

ステータスは早めに表計算ソフトに落とし込んで計算可能にする予定なので、数値が変わる可能性が非常に高いです。

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