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旅人は歩く  作者: 紲空現
6/12

1-5-1 持つべきものは?

絶対歴1131年5月6日(金)


旅には何が必要だろうか。それは能力であり、技術であり、体力であり、はたまた運だろうか。

生き残るにはどういう動きをすればいいか考え続けることが大切だと実感した。





□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□





ようやく晴れてEランクに昇格して数日。再び森にきて、基礎生存能力とお金を稼いでいた。そんな時、ほかのパーティに声を掛けられた。


「なあ、お前、一人か?俺達と一緒に依頼を終らせて町まで行かないか?」


視界には同じくらいかやや大きめの背丈の男3人のパーティが映っている。一人は剣を、違う一人はローブを着ていることから魔術師のようだ。もう一人は軽装で弓を持っているので弓師だろう。

別段怪しいわけでも無いし、色々自分では気づかないことも教えて貰えそうだ。別にいいだろう。


「良いのか?よろしく頼む」

「おうともよ!して、なんの依頼だ?薬草か?」


剣の人が許可を貰えてから依頼の内容を聞いてくる。ソロの初心者が出来る依頼には限界があるし、その程度ならさっくり終らせられる自信があるのだろう。


「ああ、その通りだ。あと3本集めたら終わるんだ」

「おお!そうか。そういやまだ日も高い。ちったあ先輩から教わっていったって十分間に合うだろ?ちょっと話していいかい?」

「良いよ。よろしく頼む」





そうして、雑談をしつつ薬草を探し、道中で色々と教わった。





「ほら、あの木に毛が付いているだろ?足跡も見えにくいが…ほら、そこの木の下だ」

「ああ、なるほど。これでここに獣が来てたことが分かるのか」

「あんちゃん、賢いなあ。だがしかし、もっと分かることもあるんだなこれが。付いている高さやそのつき方に注意してみろ。あのぐらいだと大人の猪だな。狩りたいなら近づけば良いし、疲れてるなら逃げたらいい。色んな所に情報は眠っているんだぜ?」





「この蔦があるだろ?これを切ってこうやって置いておけば、帰りに寄ったとき獲物が掛かってたらめっけもんだろ?人ならすぐ抜け出せるが、あいつらには無理だ。暴れてたら怪我はしてるかもしれねえから味は落ちると思うが、食い物があるだけありがたいだろ?」


「この蔦、移動にも使えるぐらい丈夫だからなあ。上手くつかえよお」


魔法使いの人もひと通りの知識はあるのかそう追加で教えてくれた。


「なるほど。……こんな感じか?」


目の前に不格好な輪っかが出来上がる。


「まあまあだな。形は合ってるから何回もやってたら上手くなるだろ」





そうして、薬草も集め終わって3人の冒険者とも仲良くなってきたのだった。


「最後にいいか?」

「うん?何だ?」

「俺達の知ってるこの辺のいい景色がある所があるんだ。そこまで連れて行ってやろうか?」


非常に魅力的な話だった。旅に出たかった大きな理由だったからだ。子供の頃に世界が面白いと思って、色んな食べ物や風景、土地の人との会話をして、もっともっと世界について知りたいと興味が湧いたのを今でも思い出す。それで、今こうして気ままに一人で旅を始めたのだ。また、旅を日記に残して後で少しでも思い出せたらもっと楽しいだろうと思っている。そんなところに降って沸いた絶景が見られるチャンス。彼らについて行かないわけがなかった。


「よろしく頼む。そういうの、好きなんだわ」

「冒険者なんてそうでなきゃやってらんねえだろ?俺達も疲れたときはそこに行ってボーーッとするとスッキリするんだ。よし、それじゃぁ行こうじゃねえか」





□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□





森の中を進んでいく。しかし、絶景が見れるような 気配は無く、むしろ鬱蒼(うっそう)と茂った森はまだ日が赤くなるには少し余裕があるのに辺りは暗くなってきていた。


「なあ、これで道は合ってるのか?」

「大丈夫だ。あともうちょっとで着くからな」

「分かった。ついて行くよ。どうせ俺には分からないからな」








そうして進むこと更に20分。仄かに空が赤くなってきた。日が落ちるまであと1時間といったところだろうか。


「そろそろ着くぞ。ほら、そこの崖の下を見てみろ。ああ、休憩にするから荷物も置いてスッキリしてから見な」


そうして荷物を置いて崖に近づく。高さは大体15m程だろうか。そして崖の上から見下ろすと。



一面に色とりどりの花が咲いていて、蝶も舞っている。空のほのかな赤と混じりあう幻想的な光景。中心には1本の大きな木が生えており、太くどっしりとした幹から青々とした葉を空いっぱいに広げる。草木の香りがこの場所にまで微かに流れ着き、綺麗な空気と魔力が一帯に満ちていて心が洗われるようだった。




そうして眺めていたその時。



「___っ!ぐあっ!」


突如として背中に痛みがはしる。痛みを堪えて振り向くと、男が剣を袈裟懸けに振り下ろしている姿が見えた。


「アアッハハハハハハァ!こんなにあっさり引っかかるなんて!やっぱり素人はちょろいなあ!」


嘲る男の声が少し遠くに聞こえた。荒い息を整えようとしながら目の前の男を睨みつける。


「分かんねえっていう面を晒してるなあおい!簡単に言うと!お前は!俺達に!騙されたんだよお!アッヒャハハハハハ!」

「そうだぞう。大人しく諦めるんだなあ。なあに、お前の遺品は売り払って、親に身代金を貰ったあとにギルドカードを渡して意表を突いてから殺して!更にギルドに届けて金にするんだよヒャッハア!」


「させるかあっ!」


目の前の男に剣を出すことも忘れて殴りかかろうとした時、右ふくらはぎに激痛が走る。


「あがあっ!」


今まで無口だった弓師が語りかけた。


「だれがさせると思ったんだい?上げてから落とす。これが基本なんだよ、君」


「と、いうわけで。さらばだ!」




世界がスローモーションになった。右目に銀灰色の塊が降ってくる。恐怖で体が動かない。辛うじて恐怖で動いたまぶたが下ろされ、一瞬の間のあと、激痛が走った。

その痛みで声を上げるまでにみぞおちに膝が突き刺さる。内臓が抉れる嫌な感触。口から血と胃液が零れ出す。衝撃で真後ろの崖から落ちて、斜面にぶつかり背中を強打。その衝撃は致命的なダメージを受けた体に響き、意識を手放した。





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《ステータス》


〈基本情報〉

名前:ローレンツ

性別:男

種族:人間

職業:旅人


〈能力値〉

総合Lv.6(1↑)

HP0/130(10↑)

MP60/100(10↑)

筋力Lv.4

魔力Lv.4

スタミナLv.6(1↑)

素早さLv.4

防御力Lv.4(2↑)

精神力Lv.3

運Lv.4


〈スキル〉

[剣術]Lv.4(1↑)[弓術]Lv.3(1↑)

[基礎魔法]Lv.2[生活魔法]Lv.2


〈称号〉

〔さすらうもの〕〔サバイバル入門〕〔冒険者(E)〕

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