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旅人は歩く  作者: 紲空現
3/12

1-4-2 ゴブリンとの遭遇

絶対歴1131年4月9日(月)


当初12日ほどで町につく見込みだったが、道がかなり厳しくたどり着けない気がする。さすがに父と母の速度を目安にしてはいけなかった。

食料事情もかなり厳しい。獲物はいないし、逃げられるし、魔物の肉は強くないと不味いし、毒のあるやつもいる。水は一応生活魔法で作り出せるが、美味しくないし、MPが勿体ない。

なかなか厳しい。最悪ゴブリンの肉はあるが…





□□□□□





「つらい。お腹すいた」


旅に出て9日。歩いては止まってを繰り返して、疲労がたまってきた。どうしてこんな遠いところに家を建てたのか非常に謎だ。しかも狩猟で得た素材はどうやって売りに出しているのだろうか。移動時間とか腐るとか。疑問点はたくさんあるが、とりあえず、


「弓は当たらないし、猪は突っ込んできたし、矢の回収は面倒」


今を乗り越えなければならない。魔物に刺さっても、木に刺さっても、地面に刺さっても、一本一本草をかき分け使えるものは回収する。矢も消耗品とはいえ、使い回しは重要である。町でないと補充するのは困難なのだ。


「うええ……後10本しか残ってない。近づいて斬るのはあれだし、どうしたものか」


そうして木にもたれ掛かって休息していると、遠くから音がした。


「グギャギャギャギャ!ゲキャ、グギギ?」


「げっ、ゴブリンが来た。………しかたない、倒して食べるか。お腹が空きすぎた。怪我だけはしないように気を付けないと。あいつらの武器、錆びてるし。体に悪そう」


そうして木に身を隠しながら、道をそれてゴブリンへ向かっていく。そうして10mほどまで近づいたとき、


「グギャャャャーーーー!」

「ゴギャャャャーーーー!」


「まずい、2体か。今までは大体一匹だったのに。そして見つかったか」


ゴブリンたちは一人でいる人間を見つけ、そのまま襲いかかることにした。多かったら逃げるが、そんなに多くないので襲わない手はなかった。


「はあぁぁぁ!スラッシュ!」


2体並んできたので、走りながら左のやつにターゲットを合わせる。そのまま腹を横にスキルの力を借りて一閃。急いで距離をとり相対する。


「グギャァァァァァァァーーーー!」


ゴブリンは悲鳴をあげる。しかし倒れない。


「スラッシュ!」


もう一体に近づき頭を縦に叩き切る。そのままもう一体も頭を横に飛ばし、死んだことを確認してひとまず戦いは終わった。


「はあ…はあ………もっと多かったら多分スタミナ切れで怪我してた。全力疾走はやっぱきつい」


さすがに一体を倒すのは早くなったが、複数になるときついようだ。おまけにお腹もすいていて、先日の猪襲来で安眠を妨害されてからは警戒レベルを上げたため睡眠不足が首をもたげてきている。早く町につかないと厳しいだろう。なお、猪は解体して貴重な食料となり、朝から猪というハードな食事となった。


「さて。食べるしかないか。まずは魔石を取り出して、右耳を取って、血抜きだな。流石に緑色をしていて匂いも酷い。ゴブリンを食べるのは皆忌避しているが、食わねば死ぬ。今はオークが出ても逃げられないし、お腹すいた。あ、服だけ生活魔法のうち浄化をしておかねば。だが限界はあるのでマントが血でかなりガビガビになってしまっている。後で買い換えか……お金が足りなくなる……休めない……」


彼の表情はどんどんと憂鬱なものへと変わっていく。

魔石はどんな魔物でも欠片は持っている。基本は大きい魔物ほど強い。ゴブリンの右耳は討伐部位なので、取らないとお金が貰えず違う意味で死んでしまう。



そうしてこうして、血抜きが終わって。



「いざ、実食………凄い見た目だなこりゃ。」


目の前にあるのは血抜きがちょっと上手くいっておらず緑がかった目も当てられない肉。


「うええ……とりあえず焼くか」


集めた木の枝に、生活魔法の種火で火をつける。……なかなかつかない。枯れ葉を足してようやくついた。


「うわ、煙が出てきた。大丈夫かこれ?なんか臭いし。でも焼かないことには食べられないから諦めるしかない」


嫌な臭いのする白煙が立ちのぼり、森の中まで侵食していく。幸運にもそのお陰でこのひとときが保たれたのだが、それは今の彼には知るよしもない。


そして肉を焼くこと10分。


「そろそろいけるか?見た目じゃよくわからん。指でつつく限りいけそう……あつっ!」



取り敢えず深呼吸をして体をおちつけると同時に逸る気持ちを抑えて冷める時間を稼ぐ。



「…気を取り直して。いただきます」


焼いてもお世辞にも美味しそうに見えないそれを齧ってみる。


「固っ!しかも肉から粘液が染みだしてねちゃつくし、凄いエグみもあって食感も固いのにぐにょぐにょして気持ち悪い。さっきの肉焼きの煙も臭いし目に染みるし…うぷっ」


案の定食べ物とは言えなかった。


「何か木の実も混ぜた方がよかったかなあ。取り敢えず吐かないで食べきろう。食べないとしぬ食べないとしぬ……これは食べ物これは食べ物……」


自己暗示を掛け、なんとか食べきってお腹だけは満たされたが色々なものを失って顔色を青くしていると。ふと道から森に目をやると、沢山のゴブリンの姿が見えた。


「………これはやばくね?命の危機だな。見つからないように逃げ…」


「グギャッ!ゲキャゲキャ!」


「ゲキャァァァァーー!」

「グギャァァァァァァーーー!!」

「ゲギャギャギャァァー!」


1体が同族を殺した冒険者を見つけ、回りに醜悪な声で伝える。


「ヤバイ見つかった逃げろ!捕まったら袋叩きにされてひどいことになる!」


そして逃走する。実はさっきの煙でゴブリンは近寄れずに戦うのを止めていたのだが、煙が晴れて襲ってきたようで。その後無事逃げきったが、結局無理やり満たしたお腹はいくらか空いてしまったのと、吐き気が出てくるなどさんざんな目にあってしまった。





□□□□□





《ステータス》


〈基本情報〉

名前:ローレンツ

性別:男

種族:人間

職業:旅人


〈能力値〉

総合Lv.2(1↑)

HP75/90(10↑)

MP60/60(10↑)

筋力Lv.2

魔力Lv.1

スタミナLv.3

素早さLv.2(1↑)

防御力Lv.2

精神力Lv.2

運Lv.2(1↑)


〈スキル〉

[剣術]Lv.2(1↑)[弓術]Lv.1

[基礎魔法]Lv.1[生活魔法]Lv.1


〈称号〉

〔さすらうもの〕〔サバイバル入門〕

ステータス更新は一週間分まとめて反映させます。装備や技は時が来たらその時々で。

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