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旅人は歩く  作者: 紲空現
2/12

1-4-1 旅立つ時

 絶対歴1131年4月1日(日)


 今日はついに旅に出る日となった。

 15歳、成人となって晴れて旅に出る許可が下りた。というか、今日がその誕生日だ。

 旅の記録として週一回は日記をつけておこうと思う。後で見返すと恥ずかしくなるのが目に見えるが、懐かしむのには丁度いい。というか、背伸びして書いているせいか既に辛くなってきた。

 さて、今日は……



 □□□□□



 誰かが荷物の側でぶつぶつ言っている。白い髪に黒い目の男の子だ。いや、今日からは男性というべきか。


「装備よし、食料よし、水分よし」


 そして立ち上がる。姿を見ると、身長は175cm程とやや高めで普通に肉がついているが、筋肉質ではないようだ。そしてそのまままた一人で呟く。


「しかし、今日に出たいとずっといってたけど、やっぱり寂しいなあ。昨日早めにおこなった誕生日パーティーが思い出されて、ちょっと気が変わりそう」


 そう、彼は誕生日に念願の旅にでるため、前日の夜に既に祝ってもらっていたのだ。彼とその兄、両親との四人でささやかに、しかし盛大に行われたのだった。


「忘れ物はない?ちゃんと水と食べ物はもった?誕生日プレゼントも忘れてない?」


 母が彼を心配して話しかけてきた。母の方は身長160cm程だが、栗色の髪に黒色の目をしている優しげな表情をする人だ。


「うん、母さん。ちゃんと持ってる。しかし、本当にこんなものもらっていいの?」

「いいのよ。それは絶対どこかで必要になるんだから。きっとね。旅のお守りとして、その魔石のペンダントを大事にしてね」

「うん、わかった。でも、空っぽだよね?しかも、空っぽのはすごく高いのに…」


 実は、普通の属性つきの魔石は小さいのだと100リークからだが、空っぽなのは1万リークからである。しかもこれは中型なので、その10倍の10万リークは下らない。農家だと平均月収が5000リークなので、かなり高い買い物である。


「だから気にしないで。空っぽのは持っている人の魔力に徐々に染まっていって、大体数ヶ月で自分のものになるの。その後も魔力を溜め込むから、困ったときは力になってくれるはずよ。」


 そういって母はにっこりと微笑みかけてくる。


「そうだな。本当はいってほしくない気持ちもあるが、したいことをさせてやるのは親のつとめだ。だから、こういうものを渡したんだ」


 そこへ父も後からやって来た。…荷物がまだ広がっているので、部屋が更に狭くなってしまった。

 父は黒い髪を長く伸ばして、焦げ茶色の目をした、いわゆる細マッチョと呼ばれる部類の人である。


「父さんまで。わかった。ありがとう。そういえば、兄は何処へ?」

「ああ、兄は朝早くから森に入っていったぞ。狩りをしてるんだが、もう教えることがほとんどなくなってしまってな。まあ、そういうことだ。安心していってくるといい」


 兄の方は栗色の髪に同じ色の目で、森にすぐ紛れてしまう。フレンドリーファイア防止のため普段は森で目立つ色の服をしているらしい。

 この世界では親子で髪の色が違うのはたまにあることである。特に両親の色が全く違うとあまりない色になることもままあるらしい。だからといって何故こんな極端なことになるかは不明である。なかには髪が発光してる人もいるらしい。世界は謎に満ちているし、それが旅に出たかった理由のひとつである。


「わかった。行ってくるよ。近くまで来たらまた戻ってくるよ」


 そうして、誕生日の朝、今まで過ごしてきた木のログハウスを出て、旅人になることにした。この先は何があるか分からない。だが、世界をより知りたいという欲求はどうしても押さえることができなかった。

 …父と母は昔は凄腕の冒険者だったらしい。そのときの貯蓄と、狩人稼業でのんびり山のなかで暮らしているのだそうだ。その貯蓄の一部から装備代などを出してくれた。

 兄は元から家業を継ぐつもりだったらしく、狩人としての腕はかなりいい。安心して出ていってもいいと言われた。が、時々顔を見せろと弓で脅された。50m位なら平然と当ててくるので非常に怖い。風魔法の併用で洒落にならない威力と精度になっていて、エルフ族にも劣らないと評判である。ちゃんと帰ろう。


 さて、まずは食料確保だ。3日分はあるとはいえ、近くの町まで12日もかかるらしい。保存食は長持ちする貴重な食料だし、山を下るのはなかなか厳しい。ちょっとずつでも稼いでおかねば。



 □□□□□



 《ステータス》


 〈基本情報〉

 名前:ローレンツ

 性別:男

 種族:人間

 職業:旅人


 〈能力値〉

 総合Lv.1

 HP80/80

 MP50/50

 筋力Lv.2

 魔力Lv.1

 スタミナLv.3

 素早さLv.1

 防御力Lv.2

 精神力Lv.2

 運Lv.1


 〈スキル〉

 [剣術]Lv.1[弓術]Lv.1

 [基礎魔法]Lv.1[生活魔法]Lv.1


 〈称号〉

 〔さすらうもの〕


 〈装備〉

 右手:銅の剣

 左手:木の盾

 頭:なし

 腕:革の籠手

 体:布の服

 背中:バックパック(大)

 腰:矢筒(30本)

 足:冒険者シューズ(古)

 装飾品:空魔石のペンダント

 その他:革のフードマント


 〈装備効果〉

 移動速度上昇(微)

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