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終末世界のダークナイト  作者: さくらつぼむ
聖域の守護者
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11話 魔法剣士の意地

 静まるなかに響くポツンポツンとした音でリンは目を覚ました。



「痛てて……」



 思わず呻くが直ぐに口を押さえた。近くに魔物がいるかもしれないからだ。

 だが幸い物音はしない。ここにいるのは自分だけのようだと、胸を撫で下ろす。

 痛む頭を押さえながら周囲を見回せど、暗くて何も見えない。

 耳を澄ませばさっきから聞こえるポツンポツンと雫が水面に落ちる音だけが聞こえている。

 空気はじめじめと湿っており、頭痛と合わさりとても不快な気分だった。



 リンはまず状況の整理から図った。

 闇に目が慣れてきたが、蠢く影はとくにない。

 小さなザックからカンテラを取り出すと、石を打って火を点ける。

 暗がりに灯りが広がると、まず周囲におびただしい数の白骨が散乱してることに驚く。



「!」



 だが慌てることなく、ノドの奥にある今にも飛びでそうな悲鳴を飲みこんだ。

 冷静になって周囲も照らしてみる。

 石造りの壁には綺麗に並ぶ窪みがあり、クモの巣があちこちに張っている。

 ここはなにかの保管庫のようだった。

 だがそれにしてはあまりに仰々しい。全ての窪みには何かが書かれた鉄板がある。

 ふと気になったリンは、立ち上がって最寄の窪みの中をカンテラで照らしてみる。



 リンは固唾を飲んだ。

 窪みのなかにあったのは骸骨だった。

 名札に書かれていたのは名前と位で、つまりここは戦争で亡くなった者らが眠る地下墓地だったのだ。

 胸元で十字を切り、祈りを捧げるリン。



 だが床にある白骨は明らかにここ最近のものだ。

 恐らく自分は食糧として確保されたものの、どうやらまだ食事時ではないらしい。

 魔物がいないかもう一度確認する。

 やはり何もいない。火の揺らめきに合わせて影が踊るばかりだ。



 次に自分を検めると、今更ローブがないことに気付く。更に手はべっとりと血が付いており、どうやら頭に傷があることがわかった。



 ――派手にやられたな。



 だがそこは歴戦の冒険者リンだ。慌てることなく冷静にザックから薬草と包帯を取り処置する。

 ついでにポーションを呷りながら、記憶を辿って状況の整理を始めた。







 自分は槍の確認をすることになり、すぐさま取り掛かった。

 アイエスのように使ってる武器を任されたわけでもないし、ギデオンのような武器にロマンを抱くタイプでもない。

 だからさして気に止めることもなく、すぐに仕事を済ませた。

 だが他の二人はどこか愛しむような目で見て回ってるので、そっとしとくことにした。

 しばらくすると確認したはずの片手槍の一角から物音が聞こえ、そこに向かって見たのは――






 リンはそこまで思い出したところで、ふと闇に蠢く影を見つける。

 すぐにそっちの方へカンテラを向けると、自分をここへ連れてきただろう輩がそこにいた。



「まったく、可愛い女の子をこんな場所に連れてきて何するもりなのかしら?」



 言いながら空いた片手で剣を抜き、その切っ先を前方にいる――オークへと向けた。



「オレ、オンナ、スキ!」



 ヨダレを垂らす深緑の皮膚をした魔物オーク。

 筋骨隆々とした逞しい身体つきで、二メートル近くありそうな体格、口からは獣のような牙が見える。



「オンナ、ヤワラカイ、ヤリタイ、ウマイ!」



 オークは騎士の持つべき頑強な盾を構え、さっき持ち去った片手槍を掲げ、猪突猛進でリンへ迫る。



「なら来なさい。 女の怖さをたっぷりその身に刻んであげるわ!」

そろそろ限界なので毎日投稿はここらで終了です。

今後は書き上げ次第の投稿となります。

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