書簡ヶ夢
犯人を突き止める決心をする五日前から前夜のお話。
この夢を見ているのは……?
最近、よく夢を見る。同じ夢。
私はクリーム色の空間にいて、視界はピンホール。ひとひらの紅い花弁がひらひらと目の前に落ちてきて、誘うように、奥へと吸い込まれるようにして消える。
ーまるで、生命を吸い取られるように。
奥へと進むにつれて、視界にちらちらと現れる花弁は数を増しているきがする。
やがて遠くの床に何かがあるのが見えてくる。
ーあれは、なに?
それが何かわかるくらい近付いた、はっと気づくとしゅるしゅると互いのぶつかる音のするくらい花弁が舞っていた。
特に、床にあったものの周り、
ー悪魔の貌の象徴で見るような、山羊の頭蓋骨……ー
そこに落ちた花は途端に、かさり、と乾いた音を立てて枯れていく。
ー怖い。
動こうと身を翻そうとするが、動けない。
ーかさ、かさり。
後ろで音がした。振り返ると、そこには……
……ここで、いつも途切れる。
そして、不思議なことに、日毎に少しずつは振り返ったあとが見えてくる。
最初、夢はそこで途絶えた。
二日目、一瞬かげが遠くに見えた気がした。
三日、四日目、だんだん影は近づいてくる。
五日目、その影は私に手を伸ばした。