面倒くさがりな私
方向も決めず、ふらふらと歩き続けて6時間程。日は天辺にある。つまり正午。
そして今私の眼の前にあるのは天を突くように高い山だ。
頂は雲に隠れて見えない。そこから目線を左右にやると同じような山々が壁のように聳え立っている。
よく見るとそれぞれの山の中腹辺りに家らしきものとおそらく外の人だと思われる生物が動いているのが分かる。
「うーん...さすがにこれを越えるのはめんどくさいなあ...」
少し本気をだせば辿り着くことはなんのこともなしに出来るだろうが、めんどくさい。坂道は下りも上りも嫌いだ。平坦な地が一番だ。
しかし、ここまで歩き続けてようやく、初めて見つけた外の人だ。これをめんどくさいという理由で見逃してしまっていいのだろうかと僕は思う。
「よし、やめよう。歩いてればまた見つかるでしょ」
そう言い、私は歩き出す。
呑気なもんだと僕はため息をついた。
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それからまた3時間後。未だ外の人と接触することは出来ずにいた
「ねぇー、人見つかんないんだけどー?」
そう愚痴をこぼす私に僕はもう一度ため息をついた。
我慢して登っていればいまごろ外の人と接触出来ていただろう。私の面倒くさがりな性格は屋敷にいるうちに矯正しておくべきだったか。
「海があればなー、港町ってとこには人が山ほどいるんでしょ?」
いまからでも山に戻れば人に会えるだろうが、やっぱり登りたくない。さてどうするか...