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エピローグ

前章で終わったのですが自分なりに少し後日談を書きだしてみました。

この章は主人公【武山 孝】の一人称視点ではなく周りを見渡す三人称視点に変わってますのでご注意ください。


 十二人となった適合者は円卓の前に鎮座していた。

 そしてそれを守護するかのよう背後に立つ選別者。

 四十七組いた適合者と選別者は二月(ふたつき)で四分の一ほどとなっていた。

残りのメンバーを前に、苦虫を潰した様な表情のセオがいる。

「セオ……何か言う事はないのか?」

「……武山クン」

「――孝、セオさんも辛いんだと思うよ」

「カルラ、そんなの分かってる。でも……ここで管理者であるセオのひと声が欲しいんじゃないか――黙っていて何か進展でもあるのかよ!!」

孝とカルラの発した声は真っ白な空間に響き渡った。

それは沈黙していた場の空気を変える。

「ジジィー、眼帯野郎の言うとおりだぜ」

「鬼塚――俺は今眼帯してないだろ!」

「あん!? ……は? オマエ――その目は……なんだ!?」

「今頃気付いたのかよ」

「敵にやられたのか!? なさけねぇー」

「やられたんじゃない……自分でやっちまったんだ……」

「? 何言ってんだ?」

孝はLCの過剰摂取により、片目が赤眼化している。

それを知らない鬼塚はからかうように言った。


“ダンッ ”

その時ひと際大きな体躯を持つ近藤が、テーブルを大きく叩き揺らす。

「うるさいぞお前ら!! 大人しく待てないのか!!」

その一言でまた沈黙が場を支配する。


「……皆さん――申し訳ありません」

セオは深々と頭を下げた。

「私の分析不足でした。敵の脅威がここまでとは……。ほとんどの地域の指揮官クラスがランクΩもあるのは予想外の事です。最初に奪還した北海道の指揮官はランクγ、戦闘力S、戦闘脳力Cだった。それを想定していましたが……」

「ジジィ―、そんな言い訳で死んでいった奴らが納得するとでも思ってんのか!?」

「もうやめろ鬼塚!! セオの立場も分かれよ!!」

「うるせぇー()(がん)野郎!!」

「魔眼って――俺は中二病じゃねーぞ」

「でも武山さんって確実に若返りましたよね!?」

「水奈ちゃん――ホントに!?」

孝は隣に座っていた領家水奈に言われ、顔をなで始める。

「あ――ホントだ……顔がすべすべ」

「――ぷっ」

彼の背後でカルラが思わず吹き出し笑った。

「孝――今更気付いたの?」

「カルラ、言ってくれよ」

「孝は鏡見ないんだね」

「ああ――年齢を重ねるごとに目に見えて老けていくのが怖くてね」

どこか遠くを見るような目をしながら顔を上げる。

「お前ら状況を知っててコントしてるのか!?」

そう言ったのは東京の適合者――春馬だった。

「春っち、こういう状況だからこそ少しぐらい笑いがあっても――」

「お前もだ! 【(もも)】!! 緊張感を持てと何度も言っているだろう!」

「は~い」

小さく敬礼した小さな女の子、それが春馬の選別者――【()(ざくら) 桃】だ。

「おい! 春馬とやら、水奈様に向かって――」

「やめて、テリーさん」

次は静岡県の選別者――【天谷(あまや) テリー】が適合者の水奈を庇い、話に割って入る。

「イケメンハーフ……白馬に乗った王子様だな」

何故か孝は敗北感を味わっていた。


「場の空気を変えて頂けたのは有り難いのですが……」

と、言いながらセオは場の空気をまた重苦しく変える。


「セオ、横浜の指揮官の事だが――どうやら関東の統括者だったみたいなんだ」

「!! 統括者!? それは本当ですか武山クン」

「ああ本当だ。……セオ――御堂条影時という名に覚えはないか?」

「っ! ……それは…………ワタシの本名です。なぜそれを知っているのですか?」

「やはりな。その統括者はセオのコピーだ」

「私のコピー!? 確かに指揮官クラスはプロトポロス人で脳力は擬人化と聞きました。まさか私を……いつの間に」

「確か擬人化――コピーは相手に触れないと出来ないと聞きましたが」

春馬が話に加わる。

「だとしたらこの中にプロトポロス人が!?」

カルラが反射的に身構えた。

それにつられ全員が席を立つ。

「待て待て!! これじゃ~疑心暗鬼になり、残り少ない人数で同士討ちになりかねない。それこそ敵の思うつぼだぞ!」

近藤の言葉でカルラは構えを解く。

「確かにそうだな。すでに敵の術中ってわけか」

そう言いながら孝は腰に手を当てた。

「この状況はやべーんじゃねーの!? オイ武山! オマエだったら俺がやってやるから安心しろ」

「鬼塚……その逆も考えろよ」

かなりピリピリとした緊張感が漂い、十二組――二十四人を疑惑という名の悪魔が襲う。


「――待ってください」

セオの言葉が渦の渦中に投げ込まれた。

「私と同じ管理者の中に、敵を判別できる脳力者がおります。その方と連絡を取り、ここへ連れて来る事が出来ます……」

「? それじゃ早くその人と連絡を――」

「その方はアメリカにおり、今すぐには無理です。一週間ほどかかってしまいます」

「……その間どうする!?」

「みなさんにはまだ現地に協力者がおられる方もいるでしょう。一旦現地に戻って頂き協力者の方たちにもこの事を伝えてください。その間に私は管理者に連絡しておきます」

「でもこの中に敵がいるとしたら逃げるんじゃ……」

「それは大丈夫でしょう。敵はその気になればこの場の人間をすぐにでも殺せたはずです。それをしないのは何かあるはず。例えば自分より立場が上の者から命令されているか、もしくはこうなる事を分かった上でアメリカの管理者共々始末しようとしているか。そうなれば敵は別の国をも容易に手中に収められる」

「……」

孝とセオのやり取りを全員は終始黙って聞いている。

「ねぇ――孝、剛田さんは今一人で現場に残ってる」

「分かってる。心配なんだろ!?」

カルラは小さく頷く。

「とりあえず協力者の事も気になる。一旦戻って一週間後にまたここへ集まろう」

その孝の一言に誰も反論はしなかった。

また一人を除いて。

「なんでオマエがしきってんだよ!!」

鬼塚が懲りずに孝へと噛みつく。

「おま――」

孝が言いかけたその時 “ガツン ”という鈍い音と共に鬼塚の頭が揺れる。

「マモル! てめぇ~いい加減にしろっ!!」

そう言ったのは艶やかな長髪をポニーテールで結っている鬼塚の選別者であった。

「いっつ~~。……姉ちゃん――強化した拳で殴るなよ~」

「姉ちゃん!?」

周りの誰もが驚愕の表情を示した。

「ああ、みなさんには言ってなかったね。アタシが鬼塚守の選別者――【鬼塚 (まい)】と言います。一応コイツの姉です。どうぞよろしく」

「自己紹介なんていいだろ!! あ~頭いてぇ~」

「大事なことだろ! てか、オマエこそアタシの強化拳を生身で受けてよくタンコブ一つで済んでるよな」

「確かに……余程の石頭なんだな」

「武山――この野郎!!」

「アンタ今度は手加減なしの一撃食らわすよ!!」

鬼塚の襟首をつかみ、握りこぶしで姉は弟を威嚇する。

「くそっ!!」 

どうやら上下関係がハッキリしている姉弟のようだ。

「それじゃ、アタシらはお先に~」

そう言いながら姉は弟の襟首を掴んだまま引きずり去っていく。

ポカンとしていた一同も我に返ると、各々の部屋へと散って行った。

だがその中で孝だけが、何かを感じたように会議室の周りを見渡す。

「どうしました!? 武山クン」

「あ……いえ――別に」

セオの言葉に対して不愛想に答えると、孝は踵を返し部屋へと戻って行った。



そして十二組はそれぞれの管轄へと戻った。

『感付いたか……あの覚醒者……厄介だな』

たった一人――セオの背後にいる人物を除いて…………。



こんな感じで一応含みを持たせて終わりたいと思います。反響があれば続きを書きますのでよろしくお願い致します。なければ皆さんのご想像で物語を完結してみてください<m(__)m>

こんな私の小説を読んで下さりとても感謝します。

有難うございました!

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