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第十一活 混乱+怒り=討病(うつびょう)

職安に戻った主人公とカルラは衝撃を受ける!

視界が次第にハッキリとし、目は周りの景色を見せ始める。

「……こ……ここは……どこだ? 職安のはずだよな?」

そこはまるで廃墟だった。

突火区の職安だった場所は、端末だけを残し建物は倒壊していた。

「なんなんだよ――これ!?」

「……とりあえずみんなを探しましょう!」

現状に理解出来ずにいる俺に、カルラは冷静になるように諭す。

一歩足を前に踏み出した。

辺りはかすみがかった様に視界を遮っている。

――すると瓦礫の山に人影が見えた。

「――誰だ!? 仲間か!? それとも……」

この状態、今の現状、かなり注意深くなる。

「私ですよ、私。もうお忘れですか? 支部長さん」

「御堂条!!」

現れたのは紛れもなく御堂条影時だった。

「みんなはどこだ!? この状況、どうなっているか教えろ!」

「なんです? その乱暴な言い方は。本社で何かありましたか?」

そう言いながら彼は、俺たちに歩み寄ってくる。

何か違和感があり、

「――ちょっとそこで止まれっ!!」

制止させ、彼の腕に注視する。

「? どうしました? 何をそんなに警戒しているのか分かりませんが」

「……右腕はどうした? なぜ元に戻っている!? ジュディスの脳力でも腕を再生する事は出来ないはずだ!!」

「……ふ~。戻って来た瞬間にれると思ったのですが……残念」

「な……んだと!?」

御堂条の言葉に驚きを隠せない。

「ねぇ――みんなはどこ!?」

カルラが語気を強めて聞いた。

「あ~皆さんならすぐ傍らに転がっているじゃありませんか」

「――!? どこに…………っ!!」

完全に靄が晴れ、視界が戻った時に分かる。

自分の周囲に仲間たちが倒れている事に。

「てめぇー、何しやがった!!」

「何って見れば分かるでしょう? 寝ているのか、はたまた死んでいるのか。確認してみては如何ですか?」

その言葉と同時にカルラが一番近い海道のもとに行く。

指先で首の脈を計る。

さらに彼の隣に横たえている美琴にも触れた。

俺は御堂条を警戒しつつも、カルラの方を注視する。

「…………」

彼女はうつむき首を横に振った。

「くそっ! お前何をした!?」

「何を――ですか……邪魔だからではダメですか?」

「邪魔って……同じ地球人だろうが!! 仲間じゃないのかよ!!」

「それは違いますね。間違っています。そもそも私は地球人ではない」

「!? そんな。今まで俺たちと一緒に闘ってきたじゃないか! それにセオの事とか俺たちの事とかも詳しく知っていたし。何よりあのセオが作り出した本社の空間に入れたじゃないか! 地球人じゃないのに何で入れたんだ!? 見た目だって――」

「ああ~もういいじゃないですか――面倒くさい人ですね支部長さん」

「なんだと!?」

「教えますよ。私が何故あの空間に入れ、全ての情報を知り、尚且つ皆さんの事が分かっていたかを」

俺は固唾を飲んで聞いた。

「私の正体はプロトポロス人です。脳力は擬人化――言わばあらゆる物にコピーする事が出来きる脳力です。ここまで言えば大体の察しはつくんじゃありませんか?」

「まさか……コピーしたのは……セオか!?」

「そうです。あの老人です。ですがあのままの姿でコピーしたら同じ人間が二人いる事に他の人間に気付かれ、すぐに化けの皮が剥がれてしまいますからね。外見だけ、彼が若かった時の年齢まで戻しました。あと、あなた達に付いて行ったのはただの観察ですよ。地球人がどのような行動をし、どのような戦い方をするのか――興味本位です。そもそも主任なんて役職はない」

「……なるほど――だから喋り方や雰囲気がセオに似ていて、尚且つ色々と知っていたのか」

「そういう事です」

「だがお前ら種族の正体と脳力が分かったからには、次の会議で報告させてもらうぜ!」

「それは無理でしょう。……支部長さんと秘書さんにも、この場で死んでもらいますので」

「大した自身だな! カルラと俺の脳力を見ていただろう」

「ではあなた方も私の脳力をグリフォスで見ては如何ですか?」

そう言われ、俺は耳に付けている装置のボタンを押した。

「……グリフォス、サーチ!」

“ピピピッ…… ”

《ランクΩ 戦闘力A 戦闘脳力A》

「うそ――だろ……」

「どうしました? 先程の威勢は何処に行ったのやら――ふふふふっ」

「お前……何なんだよ!」

「ま、死に際に教えてあげてもいいでしょう。私が神奈川を支配している指揮官です」

「なっ!!」

あまりの事で、俺は胸にハンマーを叩き込まれたような衝撃を受けた。

「隙だらけだな~、支部長さんは――」

いつの間にか眼前に迫っていた御堂条の、強烈なボディーブローが俺の腹をえぐる。

「――がはっ!」

吐血と共に俺の体は膝から崩れ落ちた。

「くらえっ!」

カルラが俊敏な動きで御堂条に迫り脇差を振り下ろす。

それを指先一本で受け止められる。

だがなおも彼女は怯まず背後にまわり、首筋に延髄蹴りを放つ。

相手は瞬時に体を反転させ、彼女の足首を掴んで受け止めた。

「足癖が悪いですね~。秘書さん――」

そう言うと、彼女をそのままアスファルトに叩きつける。

“ダンッ ”

地面が揺れるほどの衝撃が波のように俺へと伝わってきた。


「カ、カルラ……」

“ドクンッ ”

全身に力が込み上がる。

(寿命を気にしている場合じゃない!!)

「こい! 五刀!!」

五振りの刀が自分の周囲を回転している。

「くらえっ!!」

刀は一刀ずつ御堂条めがけ飛んでいく。

すると彼はニタリ顔で、

「私はあなた達の闘いを間近で見てきた。今更そんな物効くわけないでしょう」


“バキンッ! バキンッ! ”

折れた切っ先が地面に突き刺さる。

「そ、それは……」

彼の腕には間藤のトンファーが握られていた。

「これは戦利品ですよ。さらに強化脳力もコピーさせて頂きました」

“シュン、シュン、シュン、シュン ”

自在にトンファーを振り回しながら近づいてくる。

「さぁ、どうしますか!? 支部長さん」

(くそっ!! コイツが指揮官なら――せめて相打ちでも)

セオに内緒で俺はLCを一粒だけ隠し持っていた。

それを強く握り締める。

「ほう、相打ちでも狙っての行動ですか!? ですがやめた方がいい」

「あ!? 今になってビビったか!?」

「いえいえ――そうじゃありません。私も忙しいのですよ。なにせ関東地域の統括者でもありますから」

「統括者!?」

「そうです――関東全域を指揮しているのは私です。なのでこのような場所でのんびりもしていられないのですよ」

そう告げたあと御堂条は指を鳴らす。

“パチンッ ”

すると彼の背後から人影が姿を現した。

その影がハッキリと分かった時、俺の戦意は空を彷徨う。

「……トモ……ミ」

俺の彼女が白目を剥いて立っている。

「か……彼女……さん!?」

カルラが渾身の力を籠めながら起き上がった。

「トモミ……俺だよ――孝、分かるだろ?」

「…………」

返事はない。

「ゴメン!! 助け出すのが遅くなって――」

“!! ”

何かが俺の頬をかすめ、血が滴り落ちる。

トモミの方を見ると指先がこちらへと向けられていた。

「――孝……彼女さんは……もう」

「うるせぇー!! ……そんなこと……そんなことあるわけ……」

“スパッ ”

なおも外傷は増えたが、最早痛みは心へと移り悲傷に打ち沈む。

「では私はここら辺で――あとは頼みましたよ。ト・モ・ミ・さん」


「――御堂条――――――――――っ!!」

憤怒の怒号はすでにいない人物へと放たれた。


完結……

と思いきや、あとちょい続きます。

もう少しお付き合いを<m(__)m>

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