表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/98

 幸い、襲撃による死者はいなかったらしい。

 ただ怪我人はいるとのこと。俺も紫音もその怪我人で、病院へ運ばれて治療を受けることとなった。

 始祖魔術の影響により、大きな負傷はほぼ完治している。残っているのは掠り傷ぐらいで、これなら世話になる必要はないと思うのだが――


「あのねえ、普通の人間だったら死んでもおかしくない怪我だったのよ? 魔術があるからって、過信はしないように」


 と、湊から釘を刺された次第。


 生まれてこの方、デカイ病気をしなかった所為なのか。俺は医者を前にして、まったく気分が落ち着かなかった。

 紫音や竜明のことが気になっているのもあるんだろう。特に紫音は、普通の医者に見せられる身体じゃないし。

 まあその辺りは湊を信じるしかあるまい。他に事情を知っているのは彼女だけだ。


「……あの、兄はどうなってますか?」


 なので、もう一つの疑問を晴らしたかった。

 パソコンの画面を見ている中年の医者は、質問に対して苦い表情をする。


「まだ詳しいことは分かりませんが……始導院さんのお兄さんは、神霊石に浸食されている可能性が高いです」


「し、浸食? 神霊石って、寄生とかするんですか?」


「いえ、そうではなくてですね。竜明さんの場合は、体内に神霊石が発生しているんですよ。重度の魔力酔いが原因ですね」


「魔力酔い……」


 とすると、機竜に入っていたことが原因か?

 一抹の不安が脳裏を過る。敵に対して同情するなんて、如何なものかとは思うが。


「ああ、別に誠人さんの所為ではありませんよ。彼はどうも、以前から重度の魔力酔いを起こしていたようで。詳しい原因はまだ、調査中だそうなのですが」


「……そうですか」


 あとは、医者から自分の怪我について軽い説明を受けるだけ。

 一礼して部屋を後にすると、直ぐに待合室へと辿り着く。ショッピングモールが襲われたためだろう、忙しい雰囲気が広がっていた。


「あら、誠人君」


「湊さん……あの、紫音は?」


「正体についてはバレなかったわよ。不思議なぐらい無傷だって、お医者さんも驚いてたわ。今は車の中で待機してる」


「そうッスか、良かった。――ところで、兄貴について何か聞いてます?」


「いいえ。まあでも、ああいう症状には少し詳しいわよ? 詳細、聞く?」


「……ぜひ」


 表に出られる身内は俺ぐらいなものだ。せめて、聞くだけのことはしておきたい。

 湊に誘われて、空いている彼女の隣に座る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ