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「じゃ、紫音の方から質問してくれ。その方が効率的だろうしな」


「う、うん。……じゃあその、神霊石と機甲都市の関係について。向こうに密輸されてるんでしょ?」


「ああ。理由は単純で、向こうの機械が神霊石を動力にしてるかららしい。何でも取り換える必要がねえんだとさ」


「ずっと使えるってこと? ならこっちだって使えばいいんじゃ――」


「昔は使ってたらしいぞ。でも俺達のご先祖様は、その技術を全部捨てたんだと」


 文明を滅ぼしかけない。当事者の一人が、そんな言葉を残したらしい。

 理由を知るには、機甲都市という敵の成り立ちも関わってくる。魔術師がどうして、彼らと対立しているのかについても。


「昔な、世界大戦があったらしいんだ。魔術師はその戦いで勝利して権力を拡大、各地に魔術師の都市を作った」


「……もしかして、その戦いで使われたのが神霊石?」


「ああ、原因中の原因らしいぞ。だから、勝ったやつらは封じようとしたわけだ。実際、当時は並の魔術師なら凌駕できるレベルの戦力だったらしい。始祖魔術とも互角に戦ったとか」


「そ、そんなに……」


 紫音の反応を見ながら、脳裏に機竜の姿が浮かぶ。

 これまで機甲都市とは何度か矛を交えてきたが、あんな物は始めてみた。ひょっとしなくても、世界大戦当時の兵器だったりするんだろうか?


「――とにかく、神霊石ってのは厄介でな。これを使った兵器が強すぎるわ流布するわで、世界の均衡は滅茶苦茶になったわけだ。ちなみに神霊石を使った技術は、魔科学って呼ばれてる」


「……そんなすごい技術、よく魔術師は手放す気になったもんだね」


「いや、戦後に対立はあったぞ? 今の機甲都市とで」


「そ、そうなの?」


 あれは元々、神霊石排除に異を唱えた魔術師達の都市だ。

 捨てるのではなく、自らの力によって管理すべし、と彼らは袂を別ったらしい。開いた谷は修正されることなく、現在になっても続いている。


「なんで、俺達が住む魔術都市は、機甲都市を目の敵にしてたわけさ」


「してた?」


「今じゃ完全な対立状態とは言えないだろ、現政府がうらで繋がってるんだから。20年前の内乱も、機甲都市主導で行われたって噂だし」


「……思った以上に厄介なんだね」


 やや沈んだ彼女の抑揚。それは内に秘めている真実が、機甲都市と関わりがあることを比喩しているような。

 避け続けていたって、物事は何も解決しない。

 まなじりを決して、俺は紫音と向かい合った。


「なあ、二号ってどういう意味なんだ? あの偽物が一号なのか?」


「――ううん、彼女はもっと後の番号。私は作られたのが早かったから」

 作られた。

 聞きたくない単語を、聞いてしまった気がする。

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