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養子に出た妹が誘惑してきて、妹だなんて忘れたい  作者: 軌跡
第三章 日常に牙は潜む
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 眩む視界、薄れる意識。

 その中でも五感は無事で、俺は大きく息を吸う。

 全身を駆け巡る高密度の魔力。力の中心は喉の奥、特大の一撃を叩き出すための器官にある。


『ふ――!』


 凝縮したエネルギーは、まるで彗星のように。

 一筋の閃光と化して、機竜の顔面へと吸い込まれていく。


 ――もちろん、結果は味気ないものだった。

 無効化こそされなかったものの、四方八方に飛び散って洞窟を破壊する。機竜に直撃しかなったのが本当に惜しい。


「あはは、今の光、竜砲フレアっていうんだっけ?、魔力で構成されたものでしょ? それじゃあこの子には通用しないよ」


『――ああ、だろうな』


 俺は冷静に事実を受け入れる。こうなった以上、竜化はほとんど役に立たないだろうな、とも。

 まあ、あくまでもほとんどだ。

 攻める手段が、まったく無くなったわけじゃない。


「なにを――?」


 機竜から目を逸らし、戦場となっている空洞の端へ跳躍する。

 竜砲で崩れた壁から取り出すのは一つだけ。これを使う上でなら、竜化はその価値を発揮できる。

 人間の膂力りょりょくじゃ到底支えきれない、巨大な岩を持ち上げる。


「まさか……!」


『魔力が通ってるものは無効化するんだろ? だったら天然の岩は無理だよな?』


「っ、そんなもので機竜の装甲が破れるわけ――」


『焦り気味が説得力がねぇよ……!』


 全力をもって投擲とうてきする。

 偽物の紫音は回避するよう指示したが、反応し切れないのは誰もが想像するところ。巨岩は機竜の胴めがけて、弧を描きながら落ちていく。


 響く轟音は一度きり。


 敵はよろめいたものの、倒れるほどには至らなかった。肩に乗っている紫音は大きな安堵を零す。

 ああ、安心してりゃあいいだろう。

 こっちにはもっと、特大の武器があるんだから。


『ふん!』


 神霊石。

 いくら魔力をため込んでいるとはいえ、基本は鉱石だ。機竜が持っている防御能力では、下敷きになることを防げない――!


「ちょ……!?」


 倒れる神霊石と、狼狽ろうばいを露わにする紫音。

 機竜はどうにかして逃げようとするが、本格的に動き出すまでには至らず。

 轟音と共に、石の下敷きとなった。

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