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「うう……」
眠い。
布団から出る気になれない。部屋の外からは日差しが差し込んでいて、いつの間にかついてるラジオは7時半を知らせているのに。
俺は昨夜の反動から、寝て起きてを繰り返していた。
「センパーイ、起きてー!」
いつの間にか起床していた紫音が、俺の身体を揺さ振ってくる。
「朝ごはん、適当に作ったからさ。食べた感想聞きたいなっ!」
「うるせえ……俺はあと二時間ぐらい寝るんだよ。誰のせいで寝不足になったと……」
「うん、先輩の自己責任だね。添い寝したって、緊張するのは個人の問題でしょ? アタシは熟睡できたしね」
「ぐぬぅ……」
煽られてる気がして、俺は重い身体を起こす。
ああそうだ、自己責任ですよこんちくしょう。寝顔が気になって振り向いたら、余計寝られなくなるの繰り返しだった。
もしソレを知られていたらと思うとゾッとするが、彼女にらしい発言はない。
「でも先輩、アタシに何だかんだって気があるよね? 寝顔、覗いてたし」
前言撤回、完敗でした。
紫音の勝ち誇った笑みを見せつけられた後、俺はベットから足を下ろす。そういえば、昨日はワイシャツ姿のまま寝てしまった。これも熟睡できなかった原因かもしれない。
「あ、そうそう。今朝さ、お兄ちゃんが荷物持ってきたよ」
「これからの生活で使うやつか?」
「そ。まあ制服と、朝食の材料だけどね。どうしても先輩に手料理ごちそうしたくてさー! あ、これ似合ってるかな?」
ほら、と紫音はその場で一回転。寝ぼけていて気付かなかったが、新しい制服を早速着ていた。
これまでは黒を基本にした制服だったが、今回は茶色みがかったデザインに代わっている。
上着のブレザーで、スカートは赤のチェック柄。
一通りお披露目したところで、紫音はエプロンを装着して台所へ戻る。肉の匂いがする辺り、ハムエッグでも作っているんだろうか?
「ほらほら先輩、早く顔洗って、歯磨きしてきなよ。ブラシとコップは用意してあったから!」
「へいへい……」
あとで日暮には、お礼のメールでもしておこうか。
これまでの朝と変わらないケアをして、俺はさっさと戻ってくる。
テーブルの上では朝食の用意が終わりつつあった。トーストでパンを焼けば、準備は完全に終了する。
俺はワイシャツのまま、紫音はエプロンをつけたまま椅子に座った。
「それじゃ、いただきまーす!」




