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養子に出た妹が誘惑してきて、妹だなんて忘れたい  作者: 軌跡
第二章 新生活・魔術都市
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 ひとまず無視して、俺は両手に溜めた水で顔を洗う。少しだけ、お陰で煩悩は収まった……んじゃないかな?


「紫音が文句言った辺り、ベッドが二つ置いてあったのかねえ……」


 近くの引き出しからタオルを取りつつ、俺は居間の方へと歩く。

 電気に照らされた生活スペースは、玄関と比較して活気があった。

 冷蔵庫に電子レンジと、家電製品は一式が揃っている。机の上にはいくつかのカップ麺が。明日はこれを食え、ということか。


「ねえ先輩、寝室の方見てよ」


「うん? ベッドが二つあったんだろ?」


「? 違うよ。狭いのが一つあっただけ。お布団もワンセットのみ」


「なにぃ!?」


 なんかウキウキしてる紫音を放置して、俺は寝室へと突撃する。


 彼女の言う通り、そこにはシングルベットが一つあるだけ。


 備え付けの棚を確認してみるが、寝具一式は一人分しか用意されていなかった。……落ち着いて寝たいなら一緒に使え、と? 一緒に使う時点で落ち着けないんですが。

 収まった緊張が、また吹き返してくる。


「むう、どうして先輩は嫌がるの? 自分で言うのもなんだけど、アタシ美少女だよ? スタイル抜群のオマケつき」


「い、いや、それはそうだろうけどな?」


「あ、分かった! 先輩、恥ずかしいんでしょ!?」


「違うわ! ――ああいや、面倒くさいからそういうことにしといてくれ!」


「め、面倒ってどういうこと!? も、もしかして女に興味がないとか……!?」


「それも違う!」


 いっそ、事実を説明するべきだろうか?

 紫音が、俺の妹だと。


「ほらー、一緒に寝ようよ。ぐっすり眠れると思うよ?」


「んわけあるか! 緊張して目が冴える!」


「む、試してないのにそんなことを言うのはおかしいんじゃない? 仮説が正解とは限らないでしょ?」


「ぐ……」


 妙な正論を返されて、言葉の勢いは止まってしまった。

 それを白旗と解したのか、紫音は予想以上に強い力で引っ張ってくる。こうなったらどうにかして、話題を変えるなりしないと……!


「そ、そうだお前、風呂はいいのか? わけ分かんない場所で寝てたんだし、身体サッパリさせたいだろ?」


「おー、先輩、気遣いの出来る男だね。折角だから一緒に入ろっか?」


「俺を話から外せ! この恋愛脳!」


「あー! それ女性蔑視だよ? 女の子は基本、恋愛脳なんだからね!」


「本当かよ……」


 とりあえず風呂には入りたいのか、彼女は浴室へ向かっていく。一人で

 ――そして、結局。

 その日の夜、俺はほとんど眠れませんでしたとさ。

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