ピーマの村にて
目を覚ますと、そこには、見慣れない天井。上体を起こして辺りを見回すが、壁も、ベッドも、窓際に飾られた花も、全てが見慣れないものであった。
「目が覚めたかい?」
声のする方向を向くと、一人の男性がドアの側の壁に寄りかかっていた。赤い帽子に深い緑色のリュックサック、ボロボロの革の長靴と、一見旅人の様な容姿だ。
「あんたが、俺を……?」
「ま、そんなところかな。俺の名はエースだ。お前は?」
「レオン・バーナード。……助けてくれて、ありがとな」
レオンは再び周りを見渡しながら、エースに訪ねる。
「―ところで、ここ、どこだ?」
「ここは、『ピーマ』の村だ。」
「ピーマ……?聞いたことねぇな」
首を傾げながら考え込むレオンに、今度はエースが質問をする。
「ところでお前、どうしてあんな場所で倒れてたんだ?しかも周りには、山賊達の死体まであったし……。」
「あぁ、それは――」
レオンは、今までの出来事を、エースに話しはじめた……。
――――――――――――――――――――
「――という訳なんだ」
話を聞き終えたエースは、腕を組みながら、なるほどな、とうなずく。
「山賊にさらわれ、謎の女の子に助けられ、謎の男に絡まれて……。お前、散々な目にあったのな」
「まぁな」
レオンは頭をかきながらベッドから降り、背伸びをする。その後、部屋の出口へと歩いて行った。
「んじゃ、俺はそろそろ……。」
「オイオイ、待てよ」
エースに呼び止められ、レオンはドアノブをつかもうとした手を止める。
「お前の故郷、どこにあるのか分からないんだろ?それに、食糧やら金やらの用意はできてるのか?」
「…………あ」
そう、レオンは、山賊に無理矢理連れられてここまで来たのだ。旅の準備など、出来ていなくて当然である。
「……旅の準備って、どうすりゃいいんだ?」
エースは、半ば呆れた様子で、深いため息をついた。