山賊の首領 2
「とにかくだ。お前、俺の村まで来てもらうぜ。たっぷり礼をしないとなぁ?」
「ふざけんなよ、誰が行くか!」
「そうかそうか、じゃあ……。」
ガオウは部下達に合図を送る。すると部下達は、一斉にナイフを取り出した。
「ひっ――!」
「いやぁ……。」
山賊達のナイフに怯える村人。後ろにも、人質として捕らえられている姉がいる。
「さぁ、どうするよ?俺としては、どっちでもいいんだがなぁ?」
レオンは苦悶の表情を浮かべ、答えた。
「………わかったよ。」
「レオン!?」
「レオン……。」
レオンの答えに、村人達は騒然とする。もちろん、後ろにいる姉も。
「ダメよ、レオン!!コイツらについていったら、何されるか……。」
「うるせぇぞ、女ぁ!」
山賊がナイフを突きつけ、姉を黙らせる。レオンはその様子を見て、ますます顔を苦くする。
「仕方ねぇだろ……。俺が行かなきゃ、村のみんなが………!」
村人達は皆、やりきれなさそうな表情をしてうつむく。
「決まりだな」
ガオウが再び合図を送ると、山賊達がレオンを取り囲む。そして、レオンを後ろ手に縛ると、全員村の入口まで歩き出した。
「レオン……。」
だんだんと遠くなっていく弟の背中を見て、姉はその場に崩れ落ちた。