山賊の首領 1
外に出ると、いつも見かける村人の姿はなく、代わりに山賊達がうろついていた。
(どうなってんだ?村のみんなは……?)
「オイ、さっさと歩け」
男にせかされ、レオンは足を進める。後ろには、姉を人質にとる、もう一人の男。
しばらく歩いていくと、村の入口に着いた。そこには、多数の山賊達と、彼らに囲まれるようにして集まる、村人達が。
「みんな……!」
「あ、レオン……。」
村人達は、一見無事の様だ。が、不安と恐怖に襲われ、皆暗い表情をしている。
「テメェがレオンか」
声をした方向を向くと、周りの山賊より一段と貫禄のある大男が、レオンをにらみつけていた。
「……ああ、お前は?」
「俺の名はガオウ。ここらじゃちっとは名の知れた山賊よ」
「ガオウ……ガオウ!?」
聞き覚えのある名に、レオンは驚く。
山賊ガオウ。キャロから少し離れた村に君臨している、山賊団の親玉の名である。
――まさか、こんなへんぴな村までやって来るなんて。レオンや村人には、全く予想できない出来事であった。
「ほ~ぅ、さすがに俺のことは知っているようだな」
ガオウはレオンの方へと歩きだし、レオンの胸ぐらを掴んだ。
「ここ最近、俺の可愛い団員達をいじめてるみたいじゃねぇか。オゥ?」
「……金をよこせって言って来るから、適当に追い払ってるだけだ!」
レオンは恐怖を抑え込みながら、ガオウをにらみ返す。
「フン、威勢だけはいいみたいだな」
ガオウはそれに怯むことなく、鼻を鳴らし、レオンを乱暴に離す。