少年の日常
ここは、レオンの住む村、『キャロ』。畑仕事に精を出す者もいれば、武器や防具などを売る者もいる。どこかのRPGに出てくるような、この世界では至って普通の田舎だ。
「お帰り、レオン」
名を呼ばれたレオンは、その方向を向き、ただいま、と返す。いつも村の入口で警護をしている、優しいおじさんだ。
「また、お姉さんのお使いかい?いつも偉いねぇ」
「まぁ、そんなところだな。お陰で山賊に会うわ、魔物に襲われるわで、嫌になっちまうよ……。」
「ハハハ、レオンは強いからなぁ。どうせいつもみたいに、みんなやっつけたんだろう?」
レオンは少し笑いながら、まぁな、と返す。しばらく話し込んだ後、警護のおじさんと別れた。それからも、村の人達に軽い挨拶などを交わしながら、家を目指す。
「ただいま~」
「お帰りなさい、レオン」
帰ってきたレオンを出迎えたのは、レオンより少し大人びた感じの女性。彼とは違い、赤髪である。
「姉ちゃん、今日のご飯は?」
「ご飯の前に、お風呂に入ってきなさい。服が泥だらけじゃない」
「……どうしても?」
「どうしてもよ」
レオンは若干面倒くさそうにため息を漏らすと、すぐに浴室へと向かった。
いつも通りの、都への買い出し。
いつも通りの、山賊や魔物との戦い。
いつも通りの、姉とのやり取り。
こんないつも通りの日常が、ずっと続くと思っていた。