とある街道にて
「めんどくせーなぁ……。」
緑に包まれたとある街道で、一人の少年が呟いた。
少年の名はレオン。オレンジ色の髪と、背に負った身の丈ほどの大剣が特徴的である。彼の右手には、どこかのお店で買ってきたのであろう食材が大量に入った、手提げカバン。
「ったく、何で俺が買い出しなんかに……。――ん?」
レオンは突然、歩いていた足を止めた。目の前に、一匹の魔物が立ちふさがったのだ。小さい鬼のような魔物で、名を『ゴブリン』と呼ぶ。
「……今度は魔物かよ」
レオンはため息混じりにそう呟くと、その場にカバンを置き、剣の柄に右の手をかけた。そして、それをスルスルと引き抜き、片手で構える。対するゴブリンは、小さな棍棒を片手に、レオンをじっと見つめる。
先に動いたのはゴブリンの方。奇声をあげながら、レオンに向かって走り来る。
レオンは少しも怯むことなく、剣を上に振りかぶり、そのまま斬り下ろす。その一撃は、ゴブリンの体を易々と引き裂き、そのまま地面にぶつかった。真っ二つに別れたゴブリンの体は、蒸発するように朽ちていった。
レオンはふう、と息をつき、剣を背に負う。そしてカバンを持ち直し、再び歩き始めた。
「早く村へ帰らなきゃな」