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葛ノ葉:「世界」を歩く~その名はドーラ
化かされているとも知らない私は、その後も暫く葛ノ葉と行動を共にした。
「ボクも初めて会った時は警戒されていたけど、今では随分打ち解けたものだねぇ。」
「そりゃあ、こんな訳の分からない世界で何時迄も疑っている訳には行かないからね。」
彼女と共に、この謎の世界を見渡していると気が付くことも沢山あった。
先ずは、この世界は私が知っている世界ではないということ。
次に、この世界には様々な世界が混ざっているということ。
そして……。
「ここかな、ボクが探していたお宅は。」
「こんな所に、誰が居るっていうのよ……。」
明らかに古びた家屋の前で葛ノ葉が足を止める、疑いの目を向ける私に構わず、彼女は戸を開ける。
「青年、また見かけたよ。 崩壊に巻き込まれた女の子だ。」
「ん? 全く……お前は人攫いが上手だな…?」
意外に綺麗な部屋の中には、全身真っ黒な青年がただ一人座っていた…。
この彼とも、永い永い付き合いをすることになるが、今回は此処で切り上げよう…。