私、友江!
私、友江!
つい最近高校生になったばかりだから、新人女子高生だぞ☆
なんて、少女漫画だと自己紹介から物語が始まるのが常識。
いったい誰にお話ししているのかなー、なんて、些細な疑問を抱きつつ、私は髪を結び、洗面台の鏡を見つめた。
「うん、変な所無し! 完璧!!」
入学式も終えて、今日から本格的に高校生活スタートだ!
今日はきっと自己紹介をしないとだし、新しい友達も見つけないと。
それにバスケ部に入りたいから、放課後見学に行く。今日はやることたくさん
私は
「いってきます」
と、元気に言って、玄関の戸を開けながら、楽しい高校生ライフに胸を膨らませた。
恋もしたい。
優しくて素敵な人。
親友の小春はもう好きな人を見つけたらしい。
斎藤 夏という、見た目がちょっと怖い人。
大丈夫かな? あの人
変わった色の瞳に、金髪。不良じゃないか心配だけど、小春がその人と付き合いたいなら、私はその応援がしたいな。
そう、恋のキューピット
第3者として主人公の1番近くにいるポディションで、しかも良いシーンが特等席で見れちゃうお得な人物
私勝ち組
色々と考えていたら、あっという間に学校に着いた。早めに来たから、生徒は殆どいない。
真面目ちゃんか、朝練に来た先輩達ぐらいかな
教室には誰もいないから、机に座って大人しく眠る事にした。
……きて……
遠くから、聞き覚えのある優しい声。日だまりみたいに暖かい体温を感じた
きっと小春だ
おきて……
やだな、気持ちいいからもう少しだけ眠っていたいな
「話したい事があるから起きて!」
その一言で私は完全に夢の世界から引きずり出された。目の前には案の定小春がいた。
「おはよ、小春」
「おはよう! あのね、計画があるの、相談に乗って!」
両手を机に付けて、小春は少し興奮気味に話した。
「斎藤先輩の、笑顔が見たい。どうすれば良いかな?」
「えー……あの人の? 笑顔とか想像出来ないんだけど」
「だからこそ、だからこそだよ!!」
言いながら、小春は顔をより一層私に近づけてきた。これは、なんでも良いから何か言わないと開放してくれないかも。
「は、鼻眼鏡でも付けて会話してみたら?」
なんちゃってー。なんて言おうとしたのに、小春は
「それだ!」
と言って、そろそろ時間だからと駆け足ぎみに席に戻っていった。
普通、恋の悩みといえば
「どうしたら振り向いてもらえるかな?」
とかじゃないの?
小春は変わってるな