心配
「どう思う?」
「どう思うもなにも、怖い人がいたら逃げるのは当然でしょ?」
友江の返事は素っ気ないものだった。冷たくもなければ暖かくもない。
ただただ客観的な意見をなぞるように言ったみたいに思えた。
「『相談があるから部活終わるの待ってる』とかいうからなにかと思えば、また斎藤先輩のことか」
「うん、だってこんなのおかしい! 斎藤先輩は確かに無愛想で怖いかもしれないけど、本当は優しい人なの……見た目のせいで皆から避けられるなんて、おかしいよ……」
斎藤先輩が、いい人だって皆に知ってほしい。そうなれば、斎藤先輩も今より学校生活が楽しくなるよね。
「小春は自分の心配もした方がいいよ……」
友江の声に熱が籠る。叩かれた肩が少し痛い。
「小春学校で新しい友達出来てないよね? それどころか避けられてるよね?」
静かではあるけれど、いつもより低いその声は、真剣な表情と合間って怒っているように見えた。
「クラスの皆が小春と距離を置くのって、小春が心配している斎藤先輩と一緒にいるからだよ」
「ああ、成る程」
わざとらしく大きな声で私は言った。だって理由なら知っているから。
「なら、早く斎藤先輩の印象を変えないとね」
肩に置かれた手の力が抜けて、ついには離れた。表情も緩み、けたけたと笑っている。
「もう、何言っても無駄か。本当に、昔から頑固なんだから」
「ごめん」
「じゃあ、アレでもしたら?」
商店街への入口前で行われている募金活動を指差して、今度は友江が不敵に笑う。
「1人で出来ない親切を皆でやればいいんじゃない? 私も手伝うからさ」




