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出会い
高校生になった4月。
入学式のその日、学校へ行く途中に立ち止まったのは道に迷ったからでも桜並木が綺麗だったからでもなかった。
ただ、桜を見上げていた男の人の瞳が、見とれるくらいくらいに綺麗だったから。
その人の瞳は、硝子の様に透明で、どんな風景よりも綺麗だった。
学生服。私がこれから通う学校の制服と同じだ。先輩か同級生の人だろうか。
「……なに?」
「え?!」
あまりに直視していたせいか、その人は私の方を見て睨む。
「な、なんでもないです! ごめんなさい!!」
つい大きな声を上げて、私はその場から駆け足で離れてしまった。
同じ学校の生徒ならまた会えるよね。