夏祭り2014 7月5日その1 合田康仁の憂鬱
皆さんおひさしぶりです。
久しぶりなのに複数回更新なんて大丈夫か心配ですがやるだけやってみます。
それでは夏祭り話、
どうぞお楽しみください。
AM5:40
早朝、若干もやがかった中央公園、少年野球広場。
普段も少年野球の休日練習で朝から賑やかなこの場所であるが、
今日はまた別の熱気に包まれていた。
まだ正式な作業開始時間になってはいないが、
うろな工務店の先発組が
一足早く作業を始めたようである。
「おい、そこのパイプ取ってくれ!」
「「ういーす!!」」
屈強な男達によって
次々と組み立てられていくテントやステージ。
例年通りの見事な動きを見せる彼らであったが、
その中に一人、
どこか手つきがぎこちない、
高校生くらいの少年が混じっていた。
「おい、ヤス坊!
次はあっちのトラックからパイプ椅子20脚持ってきてくれ!!」
「20脚も一人で運べないっすよ!」
「誰が一回で運べないんて言った!
一度に4脚持ってくりゃすぐに終わるだろ。」
「5往復はすぐとは言わないっす!!」
「後発組が来るまで人手が足りねえんだ!
こっちが終わったら手伝ってやるから、
つべこべ言わずにさっさとやれ!!」
「はーーーい!!!」
「全く返事だけは一人前だな。」
「口だけ達者っていう高原兄の話は本当らしい。」
「ちがいねえ!」
ガハハハハ♪♪
「•••この脳筋どもが。」
プロの職人達にどやされ、
からかわれながらも、
必死に椅子を運んでいく少年。
状況を分かっていない人は彼を見習いか何かだと勘違いするかもしれないが、
彼がしつこく噛み付いている青タオルの男性は現場の班長格の一人である。
本物の見習いであればそんな風に班長に楯突くことなど言語道断、
決して許されない行為であるが、
彼、合田康仁は
今日たまたま手伝うことになったただの高校生。
そのため職人達も
彼の減らず口を半ば面白がりながら、
素人なりに懸命に取り組む姿勢自体は
それなりに評価してはいたのだった。
何とか椅子を運び終わって
合田が肩で息をしながら休んでいると、
先ほどの班長が笑いながら近寄ってきた。
「しかし高校生にもなってそんなにほそちょろくて大丈夫か?
海江田だか何だか知らないが、
勉強ばかりしてないで
部活や何かでもっと運動したらどうだ?」
「オレは文芸部っす!
だいたい屋台の準備を手伝うとは聞いていたけど、
こんなガチの肉体労働をやるとは聞いちゃいねえっすよ!
ていうか、学生組も設営手伝うって話のはずなのに、
なんでオレだけ!!
男手なら日生の兄弟とかだっているっしょ!!!」
「あそこんちは小さいのも多いし、
そもそも他の学生連中は早くても6時からだ。
町役場の人達も一通り揃うのはそのくらいになるだろう。
屋台の関係者も今は商品や機材の準備で忙しいらしいしな。」
「だからオレはその屋台の手伝いってことで、
夜行バス降り場から直で来たんですって!」
「いやいや、丁度良かった。
後発組の出が遅れそうだっていうんで
猫の手も借りたい所に、
『こっちはもう少し準備に時間がかかりそうです。
その代わりそっちに男子高校生が一人行くんで、
俺らが行くまで自由に使ってもらっていいですよ。』
って高原のボンから連絡があって。」
「人を売りやがったな、あのセコ澄ーーーー!!」
「はっはっは♪
もう少しでタカのおやっさん達も来てくれるだろうし、
ARIKAの海ちゃんと一緒に高馬でも来てくれりゃ千人力だ。
その頃には高原のボン達も来るだろうし、解放してやるよ。」
「そしたら今度はそっちにこき使われること確定じゃねえっすか!!
あー、もう、稲荷山じゃねえけど、不幸だー!!!」
「モテる男は辛いね〜」
彼女である鹿島萌の浴衣姿が拝めるならと、
遠く海江田の地から
わざわざ早朝着の高速バスに乗ってプチ帰省したというのに、
どうやら朝からこってりと搾り取られる運命のようである。
浅はかな自分の姿を
不思議系女子に日々振り回されていた、
白髪の後輩に重ね合わせながら、
合田は早朝の空に嘆きの声を響かせたのであった。
まずは早朝の準備場面、
合田君のお話からスタートです。
本当はもう少し先のお話まで書こうと思っていたのですが、
キリがいいのでこの辺りで。
この後も中心となるキャラを代えながら
夏祭りの様子をフォローしていきたいと思います。
桜月りまさんの「うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話」
よりうろな工務店の設定、
タカさん、高馬さんのお名前をお借りしております。
ちなみに合田君に絡んでくれている班長さんは特に勝手に
作ってしまいましたが、
大丈夫でしょうか?
本編よりも大分先のお話なので、
問題があればご指摘お願いします。
とにあさんの「URONA・あ・らかると」より日生一家の存在を。
すでにURONA・あ・らかるとの方も更新されているようですので、
そちらの視点からもお楽しみください。
小藍さんの「キラキラを探して〜うろな町散歩〜」より、
海さんのお名前をお借りしています。
渚ちゃんと汐ちゃんもおかりしますが、
よろしくお願いします。
加えてオチのネタに
本編が終わってもやっぱり大好き、
寺町朱穂さんの「人間どもに不幸を!」より
稲荷山くんと芦屋さんの存在を話に出させていただいております。
今年はライブもありますし、
「アクセル!-新人アイドル奮闘記!‐」の飯田夏音ちゃんが中心になるとは
思いますが、剣道部の面々もどこかで登場させていただけると嬉しいです。
それでは次は大人組、鹿島茂の視点から行きたいと思います。
リアルタイムは難しいとは思いますが、
完成次第どんどん更新していこうと思いますので、
どうぞお楽しみに!!
コラボ作品URL
うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話
http://ncode.syosetu.com/n2532br/
URONA・あ・らかると
http://ncode.syosetu.com/n8162bq/
キラキラを探して〜うろな町散歩〜
http://ncode.syosetu.com/n7439br/
人間どもに不幸を!
http://ncode.syosetu.com/n7950bq/
アクセル!-新人アイドル奮闘記!‐
http://ncode.syosetu.com/n6038cb/